“手術はロボット手術時代”--。「手術の80%はロボット手術になる」と医師ならだれもが思っています。私どもの東京女子医科大学病院は、肺がんの手術の85~90%がロボット手術です。そして、2024年の肺がんロボット手術数の全国のランキングでは、ベスト5に入りました。
私がロボット手術を中心に行うのは、「手術が安全にできる」「症例数を重ねていくことで、手術時間が短縮できる」「経験を積むことで患者さんが痛みを感じることのない手術ができるようになる」「手術の質を上げることができる」からです。
そのロボット手術は、胸部に数センチ程度の孔を4カ所につくり、3次元(3D)内視鏡カメラとロボット専用の手術器具を接続したアーム3本を孔から挿入します。助手用のポートを追加する場合もあります。術者は手術室の端の方にある操縦席(コンソールボックス)の前に座り、3D画像を見ながら遠隔操作で手術を行います。胸腔鏡手術は2D画像なので、ここは大きな違いです。
そして、ロボット手術も胸腔鏡手術も、開胸手術のように胸の肋骨(ろっこつ)を切ることなく手術ができ、患者さんにとって大きなメリットです。手術後の痛みが少なく身体に優しい手術ということで、入院日数が開胸手術では短くても10日は必要ですが、ロボット手術、胸腔鏡手術は5日間程度です。肺がんの手術もこれからはロボット手術がメインとなり、手術を希望する患者さんはロボット手術をしない病院を受診しなくなる可能性があります。
実際、泌尿器手術ではそれがはっきり出ています。日本でロボット手術が最初に保険適用になったのが「前立腺がん」で、12年。「肺がん」は18年に保険適用になり、現在呼吸器外科の領域では7つのロボット手術が収載されています。その前立腺がんの手術を受ける人は、ロボット手術を行っていない病院には受診しません。手術はロボット手術時代で、さらにAIも導入されると、ロボット手術人気は大変なことになるのが見えています。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)

