2017年シーズンが始まった。1月4日は、楽天の球団始めの日だった。私にとっても、今年初の仕事。気を引き締めて、と思ったが、仙台の午前9時は、やはり肌寒い。気象庁によれば、気温3度以下だという。足取りは重くなるが、そうも言ってられない。「一番乗り」で練習する選手を取材すると決めていた。室内練習場をのぞいてみた。選手は誰もいない。人影のない光景が、余計に寒さを加速させる。クラブハウスに隣接する駐車場にも、選手の車は見当たらない。約2時間が、経過した。

 「おはようございます」と、元気のいい声が室内練習場に響いた。09年ドラフト1位の戸村だった。入念にストレッチをこなし、ランニングやキャッチボールのメニューを消化した。1人で黙々と練習する姿が、心地よかった。取材の受け答えも、ハキハキとしている。目を見て話す姿に好印象を抱いた。引き揚げる際、「僕が一番乗りですよね若手も来て練習すればいいのに」と、思い立ったように言った。

 昨季限りで、先発ローテの谷間を埋める働きから“困ったときのボブ”と呼ばれた40歳・川井が引退を決断した。38歳の後藤も引退。若い選手に課された使命は、言わずもがなである。戸村は、今年で30歳となる。プロ野球界では、中堅の領域である。「僕も若くないですしね」。短い言葉の中に、熱いエネルギーを感じた。だからこそ、一番乗りだったと思う。同学年の私は、若手とベテランの間で必死に戦い抜く彼の姿に期待せずにはいられない。【楽天担当 栗田尚樹】