日刊スポーツ評論家の田村藤夫氏(61)は、横浜の立花祥希捕手(3年)に注目した。攻守ともに本来の力を発揮できなかったが、捕手として現役21年間で通算出場試合1527試合に出場した田村氏は、潜在能力の高さを感じ取った。
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横浜の主砲立花が味わった苦しみは、彼をこれから一回りも二回りも大きくしてくれるはずだ。
ミスの残像と戦う試合だった。5回、広島新庄は無死一塁。打者瀬瀬尾のカウント0-1。横浜ベンチは2球目をウエスト。走者はスタートしており、立花の俊敏さなら楽々刺せるはずが、ボールをこぼす。1死走者なしが、無死二塁。
相手のエンドランは見破っていた。広島新庄は4回の同じ状況で初球にバントの構えから見逃してストライク、2球目にバスターエンドラン。これが判断材料になったが、生かせなかった。ウエストしたところで「しめた」と思っただろう。走者の動きも目に入り、キャッチングがおろそかになった。強肩を披露する好機は、一転して試練の場となる。このつまずきから立花はさらにミスを重ねる。
6回無死一、二塁の打席でバントをファウル。そして併殺打。9回無死一塁の守りではカウント0-1から盗塁を許し、致命的と思われる2点目を与えた。このケース、私は100%バントだと予想していた。おそらく立花も同じだったのではないか。意表をつかれた送球は、大きく一塁側へそれた。
捕手は常に頭を動かし、試合を見ながら考え続ける。自分がミスをしようが、試合は止まらない。捕球ミスによる盗塁から先制点を与え、ミスが続いた。負の残像の積み重ねが、立花から日ごろの動きを奪った。
捕手として能力は高い。キャッチングがしっかりしている。きっちりボールを受け、ミットを動かさず、審判に見やすい。捕手の基本動作だが、丁寧に止める動きは奥が深い。そしてブロッキングもいい。捕球から次の動作も速い。広島新庄の打者が何度かセーフティーバントの動きを見せたが、気配を感じると投球がベース板を通る直前に重心を前にかけた。足が良く動き、打球処理への備えがある。投球の度に大きくうなずき、投手を乗せようという意図も好感が持てた。
立花は1年生緒方に救われた。まだ試合ができる。味わうべき試練から学び、本来の力を発揮できるよう準備してほしい。
◆田村藤夫(たむら・ふじお) 1959年(昭34)10月24日生まれ、千葉県習志野市出身。関東第一から77年ドラフト6位で日本ハム入団。ロッテ-ダイエーを経て98年引退。引退後も99年から21年間、ソフトバンク、日本ハム、中日などのバッテリーコーチなど務めプロ野球界に携わった




