「勝つには勝ったが…」と書きだして、やめる。よく勝ったなという気持ちの方が強い。「1-0」勝利。中日打線に10安打を浴びながら先発・伊藤将司からブルペン陣が踏ん張り、無得点に抑えた。この部分に関しては「投手を中心とした守りの野球」が実践できたということだろう。

打線は2安打、決勝点が近本光司の1号ソロというのは少しさびしいかもしれない。指揮官・藤川球児は選手の疲労度を考慮しながら起用しているようだが、それでも疲れは感じる。

「あまり見たことないかな」と感じたのは4回だ。無死一塁で、まず3番の森下翔太。柳裕也が警戒してカウントは「3-0」に。これは「四球か」と思ったがここから2球、ストライクを取られ、最後は空振り三振に倒れた。

続く主砲・佐藤輝明も同じ流れだ。同じくカウント「3-0」から2つストライクを取られ、最後は中飛に終わった。柳は好投手だが森下、佐藤の2人がこういう倒れ方をするのもめずらしい気はする。やはり心身ともに疲れがたまっているのだろうか。

そんな試合でもっとも大きいのは、当たり前だが、勝ったことだ。こういうゲームに接すると20年以上前に闘将・星野仙一から聞いたことを思い出す。こういう話だった。

「シーズン序盤なら、勝ったとしても試合を振り返り、しっかり内容を反省しないとあかん。だが、ある程度の時期になってくれば、もうどんな展開でも勝てばいい。“結果オーライ”の季節ということや」

少し早い気もするが今季100試合目はそんな時期の始まりだったのか。チャンスメイクが仕事である近本の本塁打を含む2安打というのは決して褒められたものではない。それでも勝てた。2安打で勝ったという事実が大きい。

「うまくいくと思いながら。まあ、うまく流れてよかったです。相手のあることですから」。薄氷を踏む勝利を、球児はそう振り返ったのだ。

それでも「これがあるから大丈夫」と思える特徴が今季のチームにはある。大きな連敗をしないことだ。今季ワーストは4連敗。さらにセ・リーグ球団を相手に同一カード3連敗は一度もない。11日からは同率首位で並ぶ巨人と、敵地では今季ラストの3連戦だ。この東京ドームこそ「結果オーライ」でも勝たなければならない試合である。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対中日 中日に勝利しハイタッチする近本光司(右から2人目)と藤川球児監督(右)(撮影・宮崎幸一)
阪神対中日 中日に勝利しハイタッチする近本光司(右から2人目)と藤川球児監督(右)(撮影・宮崎幸一)