タイブレークにもつれた接戦で勝利の女神は、相手をたたえる気持ちを表したチームにほほ笑んだ。
10回裏厚木の攻撃で1死満塁の場面、生田・北館遥太投手(3年)の投げた1球がワイルドピッチに。三塁走者が生還し、厚木のサヨナラ勝ちとなった。
その直前、3番打者の内之浦壮太外野手(3年)が放った打球は、一塁側の厚木高校ベンチフェンス手前で打球が落下。捕球を試みようと生田・高橋悠捕手(3年)がスライディングするも届かずファウルに。体を張ったプレーに場内からは拍手が沸き起こったが、中でも一番拍手していたのは、相手でありそのプレーを目前で見ていた厚木の選手達であった。熊倉周平監督(38)は「フェアプレーで、お互いを尊重して気持ちよく野球をやろうというのは常に選手に伝えています」。選手は教えを接戦でも貫いた。
今の3年生の代は6人と少数しか集まらず、苦労が多かったと熊倉監督は振り返る。それでも懸命に練習を続けた最上級生の選手達を見て「頑張る姿を見てきたので、感慨深い。本当にうれしい…」と声を詰まらせながら喜びをかみしめていた。
この日2番手で登板し、流れを呼び込んだ井ノ川遼投手は「1日でも長く野球をやりたいです」と今夏の抱負を語った。最後の夏の物語はまだ終わらない。

