メジャーリーグ開幕にあたり、選手とチーム関係者へのリスクが心配される。米メディアによれば、大リーグ機構(MLB)は26日(日本時間27日)に報酬面のプランを選手会に向けて正式に提示する予定。15日には67ページに及ぶ新型コロナウイルスの感染予防マニュアルが送られ、数日後、選手会側から安全面や球場内の規制について改善を求める返答が届いている。

米ヤフースポーツは22日(同23日)、MLBと選手会が開幕へ向けて協議を続ける中、米国で別の野球リーグが既に再開したことを伝えた。13歳から19歳の選手によるアマチュア野球リーグで、米北部のモンタナ州で21日の夜に試合が行われ、球場のスタンドには観客も詰めかけたという。

記事では地元紙の報道を引用しながら、観客席の制限や、互いに約1・8メートルの距離をとるよう多くの注意書きがされていたことなど、球場内の様子をリポート。ハンドサニタイザー(手の消毒剤)もあり、観客のほとんどがマスクを着用していたと伝えている。勝利チームのヘッド・コーチは試合後、「人々は野球を求めている」とコメント。通常より多くの人が観戦に訪れていたという。

モンタナ州は23日時点で、新型コロナウイルスの感染者が国内50州の中で2番目に少ない479人。試合が行われた当日の新規感染者はいなかった。米ヤフースポーツは、同州でのリスクの低さが野球再開につながったとしている。

一方、米国全体では5月に入ってからも新規感染者数は1日2万人前後で増えている。ヤンキース、メッツの本拠地があるニューヨーク州は減少傾向ではあるものの、最近2週間で1日約1500人~2500人、メジャー5球団のあるカリフォルニア州でも1日1500人~2000人程度。カブス、ホワイトソックスが拠点とするイリノイ州は5月12日に約4000人、最近では1日2000人前後となっている。

プロ野球が開幕した台湾、韓国、6月19日の開幕を目指している日本に比べ、米国の感染者数はケタが違う。公式戦が始まれば、飛行機移動が多く、各地で状況も異なる。MLBのマンフレッド・コミッショナーは、米テレビ局CNNのインタビューで「リスクがないとは言えない」と話した。これまで一貫した選手の主張は、家族も考慮した安全面の確保。報酬の問題を含め、「選手ファースト」で合意に至って欲しい。