新労使協定に関する交渉が難航しているMLBで、「デッドライン」が刻一刻と迫っています。すでに機構側は、2月28日(日本時間3月1日)までに妥結しなければ、3月31日の公式戦開幕を延期し、代替試合は行わないとの方針を打ち出しました。しかも、削減された試合分の選手給与は支払わないとの姿勢を明かしています。
昨年12月1日に旧協定が失効する以前から、今回の交渉が難航することは予想されていましたが、オーナー側が即座にロックアウト(業務停止)に踏み切ったことで、選手会との信頼関係はさらに悪化してしまいました。もし、ロックアウトをしなければ、FA(フリーエージェント)交渉なども進むこともあり、選手会側もここまで態度を硬化させていなかったかもしれません。
25日に行われた5日連続の交渉には、ようやくロブ・マンフレッド・コミッショナーも出席しましたが、そのタイミングを疑問視する声も上がっています。本来であれば、より中立的な立場でオーナー側のまとめ役を担うはずの立場にもかかわらず、選手会に対して強硬な姿勢を続け、自らを「楽観主義者」と言ってしまう球界トップが、「最も大事な1週間」と言われる交渉の5日目に登場したわけで、リーダーシップの欠如を指摘されても仕方ありません。
これまでも、同氏の評判はあまり芳しいものではありませんでした。かつてワールドシリーズのトロフィーを「金属の塊」と失言して大ひんしゅくを買ったこともあります。また、昨季には経費削減を目的としてマイナー球団数を削減。さらに、今後はマイナー選手数の削減を提案するなど、あまりにも利益重視で「オーナー・ファースト」の姿勢が顕著に見られ、多くの選手から不平や不満が漏れていました。
コロナ禍で試合数が60試合となった20年は、球界全体が収益減となりましたが、昨年以来、球界の経済状況は順調に回復しています。MLBが複数のテレビ局と大型契約を結んだ今季からは、チケット収入などとは別に、各球団に毎年約1億ドル(約110億円)のテレビ放映権料が分配されることになっています。
本来であれば、オーナー側と選手会が「ウィン&ウィン」の関係になれる状況でしたが、ここまで泥沼化したあげく、公式戦開幕が遅れるようなことになれば、ファンに見放されてしまうかもしれません。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)




