今季もMLBで主役を張った「ショータイム」は、故障知らずの「鉄人」でもありました。
エンゼルス大谷翔平投手(28)がメジャー5年目を終えました。レギュラーシーズン最後の5日(日本時間6日)アスレチックス戦に登板し、日本ハム時代の2015年以来となるシーズン規定投球回に到達。1900年以降の近代メジャーでは、史上初の「ダブル規定到達」という大偉業を達成しました。3位のチームは8年連続でポストシーズン進出を逃しましたが、大谷自身は2年連続MVP級の働きでした。
MVPに値する最大の要因を挙げるなら、負傷者リスト(IL)入りが1度もなかったことに尽きます。2018年のエンゼルス入団後、最初の3年間はトミー・ジョン手術の影響がありました。特に投手として2年間をほぼ棒に振るなど、ケガに苦しみました。一方、この2シーズンは1度も戦線離脱がありません。投打二刀流という肉体的負担の大きさにもかかわらず、ILリストとは無縁でした。
昨年の158試合に続き、今年は157試合に出場。スタメン出場試合や打席数では昨年を上回り、この2シーズンで計315試合に出場しました。この2年間で大谷より多く出場したのは7人のみです。ア・リーグに限れば、マーカス・セミエン(32=レンジャーズ)、ともにブルージェイズのウラジーミル・ゲレロ(23)とボー・ビシェット(24)の3人のみ。大谷より年長はセミエンだけでした。
大リーグはケガ人が多く、昨季は両リーグでのべ983人がIL入り。今季は新型コロナウイルスの影響も少なく、昨年より約13%減りましたが、それでものべ854人がIL入り。1チーム平均28人がILリスト入りした計算です。
エンゼルスにしても看板スターのマイク・トラウト外野手(31)をはじめ、ジャレッド・ウォルシュ一塁手(29)やアンソニー・レンドン三塁手(32)ら、主力選手が1度はILリスト入り。それがチーム低迷の大きな原因にもなりました。
大谷もケガと無縁だったわけではありません。5月に右股関節や右腰の張りを訴え、8月には相手投手に左足を踏まれ、9月には右手中指にマメができました。それでも戦線離脱はなく、欠場はたった5試合。この2年で欠場は9試合を数えるだけで、2試合連続で休んだこともありません。
そういう意味では、マリナーズのイチロー会長付特別補佐兼インストラクター(48)や、ヤンキースの松井秀喜GM特別アドバイザー(48)に共通するものがあります。イチロー氏はマリナーズ入団の01年から最初の12年間で年平均159試合に出場。松井氏もヤンキース入団の03年から3年連続で全162試合に出場しました。松井氏はメジャーデビューから06年まで、日本選手最長の518試合連続出場の記録も作りました。
大谷は誰よりもケガのリスクが高い二刀流にもかかわらず、無事にシーズンを完走しました。本人がシーズン総括でも挙げた「健康な状態」を保てたことで、好成績を収めることができました。
メジャー歴代2位の2130試合連続出場を果たしたルー・ゲーリッグ(ヤンキース)は、「Iron Horse(鉄の馬)」と呼ばれました。元祖「鉄人」にも通じる、大谷のタフネスぶり。ケガに強く、自己管理能力の高さにもあらためて驚かされました。大団円まで世界中のファンを魅了し、ショータイム5年目の幕が下りました。(大リーグ研究家・福島良一)




