アメリカでも急速に感染が拡大している新型コロナウイルス。MLBでもシーズンの開幕が早くても6月になるのではなどといった情報が錯そうし、まったく先が見通せない状況が続く。そんななかメッツのノア・シンダーガード投手がトミー・ジョン手術を受けるということを巡り物議を醸す事態となっている。

現在27歳のシンダーガードは2015年にメジャーデビューするといきなり9勝をマークし、翌年には自己最多の14勝を記録。17年はケガで1勝しか挙げられなかったが、18年には復活を果たし13勝を挙げた。昨年は32試合に先発し、10勝8敗、防御率4.28という数字を残している。メッツ先発陣の大黒柱だ。

そんなシンダーガードが右肘の靱帯を断裂しており、靱帯復元手術、いわゆるトミー・ジョン手術を受けることになったとメッツが現地24日に発表した。発表によれば感染拡大でスプリングトレーニングが中止される2週間前からシンダーガードは不快感を感じており、MRI検査を受けた後、セカンドオピニオンも取った上で、手術を受ける基準を満たしていると判断されたという。トミー・ジョン手術を受けると復帰まで通常14~15カ月を要する。今受ければ来年6月の復帰も望める状況だ。

その上で同紙などは現地26日にフロリダ州のメッツの施設から1時間ほどの距離にある病院で手術が実施される予定だと伝えた。

ただこれが人々の怒りを買うことになってしまったのである。パンデミックの最中、医療体制がひっ迫している状況で手術を受けなければならないのかというのだ。ソーシャルメディアではシンダーガードを非難する投稿が続く状況となっている。

特に激しい怒りをあらわにしたのがニューヨークのラジオ局WFANの有名パーソナリティー、マイク・フランセサ氏だ。番組で同氏は「あなたは人々を怒らせるだろう。実際そうだ。人々はクレージーになるだろう。『どうして彼は選択的な手術を受けるんだ?病院は選択的な手術を止めていると思っていた』何がわかる?彼らは正しい。人々は正しい」と語った上で、「スター選手が木曜日に選択的な手術を受けることを発表すべきではない、おまえたちは愚か者だ」と手術を発表したメッツをののしったということだ。

通常なら手術の成功と復帰の見込みと期待が語られることが、こんな騒動になってしまうほどアメリカの状況はひどいということである。