アメリカの大学アメリカンフットボールでは現在、シーズンの総決算となる特別な試合「ボウルゲーム」が多数行われている。そんな中の1つ、ピンストライプ・ボウルが現地29日に開催された。

その名称から推察できるように、この試合を主催しているのはヤンキースで、会場はヤンキースの本拠地ヤンキー・スタジアムだ。フィールドをアメリカンフットボール仕様に変更し、2010年から開催されている。有力校が所属するアトランティックコースト・カンファレンスとビッグテン・カンファレンスから1校ずつが招待され、対戦するのが通例だ。

今回はバージニア工科大ホーキーズとメリーランド大テレピンズが対戦し、メリーランド大が54対10で勝利した。敗れたバージニア工科大だが、今回は特別な装いと特別な思いで戦いに臨んだ。

バージニア工科大のヘルメットには通常、両側に校名のイニシャル「VT」のロゴ・シールが貼付されているのだが、この試合だけ右側にヤンキースの「NY」のロゴが付けられたのである。これはヤンキー・スタジアムのヤンキース主催の試合だからというわけではなく、同校のヤンキースへの感謝を込めたものだった。

これは2007年4月16日に同校のキャンパスで発生し、犯人を含む33人の死者を出した銃乱射事件にさかのぼるヤンキースとの関係継続が背景となっている。ヤンキースは、この悲劇で被害を受けた人々への支援を目的に当時設立された「ホーキースピリット・メモリアルファンド」に100万ドルを寄付したのだ。

さらに翌2008年春、ヤンキースはバージニア州ブラックスバーグのキャンパスを訪れ、当時のヤンキース・オーナー、ジョージ・スタインブレナー氏が約束した、バージニア工科大学の野球部とエキシビジョンゲームを行ってもいる。

同校のJ・C・プライス暫定監督は「ジョージ・スタインブレナー氏と彼らは、選手や組織が寄付したお金だけでなく、彼らの時間を寄付してくれた。バージニア州ブラックスバーグ以外のどこでもよかったのに、時間を割いて野球の試合をする、それが我々のヤンキースに対する気持ちを特別にしてくれている」とコメントしている。

試合には敗れてしまったものの、彼らの気持ちは十分に伝わったのではないだろうか。