藤浪晋太郎投手が所属するアスレチックスがついにネバダ州ラスベガスへの移転を決断したようだ。現地20日、ラスベガスの地元紙、ラスベガス・レビュー・ジャナールはアスレチックスがラスベガスの目抜き通り、ラスベガス・ストリップのすぐ西にある約20万平方メートルと土地を購入する契約を結んだと報じている。

アスレチックスは現在の本拠地オークランド市とウォーターフロントに新スタジアム建設を含む120億ドル規模の大規模再開発で交渉を進めていたが、一方でラスベガスへの移転も模索し、2カ所が候補に挙がっていた。オークランドでは地元ファンがチームをとどまらせるための活動もしていたが、結局引き留めることはできなかった。

アスレチックスは声明で「我々は、これを聞くのがとても厳しいことは認識しています。ウォーターフロント・ボールパークの私たちの共有ビジョンを達成することができなかったことに失望しています。ラスベガスに焦点を移しながら、次のステップについての詳細を共有し続けます」と述べている。

この動きに対し、ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは「彼らが年内にこのプロセスに最終結論を出すことを楽しみにしている 」とコメントし、移転を支持する姿勢を見せた。

対してオークランド市のシェング・サオ市長は「深く失望した」と述べ、市は相互に有益な条件を見つけるために 「それ以上のことをしてきた。取引を完了するために大きな前進をした」と落胆を露わにした上で、「A'sはオークランドに残るつもりはなく、単にラスベガスからより良い取引を引き出そうとこのプロセスを利用してきたことは明らかだ」と不満を明らかにしている。

対してネバダ州のジョー・ロンバルド知事は「多くの面でエキサイティングだ」と歓迎を示した。

ただこれですんなりと移転とはいきそうにない。アスレチックスは3万5000人収容の開閉式屋根を持つスタジアムを中心にしたエンターテインメント複合施設の建設を計画している。その建設費は15億ドルに及ぶとされ、チーム幹部によれば、地元クラーク郡が発行する債券による5億ドルの公的資金を求め、スタジアム関連税とチームが購入した土地の周辺開発で返済する計画だという。しかしネバダ州政府はこの件に関する正式な法案を提出していない。現在の議会は6月5日までで、合意に至らなければ、チームが土地購入契約から離脱する可能性もあるのだ。

さらに現在の本拠地リングセントラル・コロシアムとの賃貸契約は2024年シーズン終了までで、新スタジアムの完成が予定される2027年まで、2025、2026年にチームがどこでプレーするかは不明の状態だ。