エンゼルス大谷翔平投手(23)が、メジャー史に新たな1ページを記した。打者出場した開幕戦に続き、敵地アスレチックス戦に先発登板。6回3安打3失点で初登板初勝利を飾った。かつて大魔神の異名を持ち、メジャーでも戦った佐々木主浩氏が大谷に祝福とアドバイスをおくった。

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 初勝利おめでとう。本当に良かった。オープン戦の投球を見てちょっと心配していたけれど、デビュー戦は海のすぐそばのオークランド。キャンプ地アリゾナやアナハイムと違って湿気がある。ボールもそれほど滑らず、普段通りに投げることができたんだろう。スピードも160キロ出ていたし、1つ勝ったことでホッとしているだろうね。

 また敵地でのデビューというのも正解だったと思う。私がマリナーズで初登板したのが00年4月5日、本拠地セーフコフィールドでのレッドソックス戦。やっぱり緊張したよ。ホームのファンに良いところを見せたいと思ってしまうから。そういう意味で敵地の方が重圧は少ない。エンゼルスは2日からはホームで6試合。その前に敵地でデビューさせたのは首脳陣の配慮もあったんじゃないだろうか。

 そんな中、やや気になったのが、肘に負担のかかるスプリットの割合が多すぎること。私のイメージでは大谷と言えば真っすぐとスライダー。日本にいたころはここまでスプリットを投げていなかった気がする。 しかしこの日は6回最後の打者デービスを遊飛に打ち取った際にも3球全部スプリット。5回のパウエルに対しても途中で3球連続スプリットを投げた後、1球直球をはさんで再びスプリットで一ゴロに切った。初球やカウントを整える球でもスプリットを使っていたし、偏った配球が目立った。あれを続けると肘に負担がかかりすぎる。

 次の登板は恐らく1週間後のアナハイムでのアスレチックス戦だろう。今度は本拠地ファンの前でお披露目となるし、プレッシャーも違ってくる。捕手とよく話し合い、マウンド上ではどんどん首を振り、自分の投球パターンを教えることも必要だと思う。(日刊スポーツ評論家)