【シアトル(米ワシントン州)19日(日本時間20日)=四竈衛】マリナーズ菊池雄星投手(27)が、本拠地シアトルで待望の初勝利を飾り、3勝目を挙げた。ア・リーグ中地区首位のツインズ戦に先発し、6回5安打3失点(自責1)。5月は登板した4試合いずれもクオリティースタート(6回以上、自責点3以内)をクリア。打線の援護にも助けられ、チームの連敗を3で止める力投をみせた。

   ◇   ◇   ◇

最高気温20度を超え、ようやくポカポカ陽気になったシアトル。菊池がホーム5戦目にして白星を手にした。「やっぱりうれしいもんですね。日曜日のお客さんがいっぱいいる中で、首位のチーム相手にというところでうれしいです」。

踏ん張った。打線が先制した直後の5回。連続四球に自らの悪送球などが絡み3点を失ったが、その裏に打線が逆転。ギアを入れ直し、直後の6回はわずか10球で3者凡退に片付けた。最速155キロの直球で好調ツ軍打線の内角を大胆にえぐり、本拠地3万1068人のボルテージを上げた。

メジャーデビューから約2カ月。チーム環境にはスムーズに適応してきた一方で、地元シアトルは「まったく知らない」状態だった。愛車のカーナビの履歴は、自宅と球場だけ。新参者の感覚は残っていた。しかも本拠での過去4戦は白星と無縁。「結果は付いてくる」と言い聞かせても、もどかしさはあった。

初夏の到来に合わせるかのような地元初勝利で、そんな気持ちも晴れた。「速球も差し込めた球が多かった。すごく自信を深める試合になった。今後にも生きると思います」。今夏には、瑠美夫人がシアトルで第1子を出産予定。「6、7、8月は最高(の季節)だと聞いていたので、これから楽しみです」。菊池にとって、シアトルがようやく“スイート・ホーム”になる93球だった。