【アナハイム(米カリフォルニア州)8日(日本時間9日)=四竈衛、斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(24)が「花巻東対決」に完勝した。

マリナーズ戦に「3番DH」で出場し、高校の先輩である菊池雄星投手(27)とメジャー初対決。4回の第3打席で左中間へ6号ソロを放ち菊池をKOするなど、3打数2安打で上回った。岩手から最高峰の舞台へと羽ばたき実現した勝負に、大谷は感慨深げ。回収したホームランボールは母校へ届けるつもりだ。

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思いが届くかのように、大谷の打球は左中間スタンドへ吸い込まれた。ラステラ、トラウトの連弾でどよめきが続く4回。菊池の初球、高々とカーブを捉えた。「いい雰囲気になったという意味では、初球に甘い球が来るというのは必然的なものはある」。球場の盛り上がりをよそに集中力を高めていた。6号ソロで3者連続本塁打。歓声は4番プホルスの打席まで鳴りやまない。ベンチで両拳を握り、珍しく喜びをあらわにした。

結果以上に感じるものがあった。「打った、打たないとか、抑えられた抑えられなかったというところではなくて、この舞台で対戦できたことがすごく大きい。やっぱり特別なもの。楽しみだった」。岩手からやってきた2人が、最高峰の地で顔を合わせた。大谷はそこに価値を感じた。

緑豊かで有数の温泉が湧く花巻市。のどかな街で、ともにメジャーへの夢を抱いた。中学時代、花巻東のエースで活躍していた菊池を目に焼き付け、あこがれ、同校へ進んだ。菊池は対戦前「岩手県の花巻というところから2人出たことは、ちょっと意味がある」と話していた。思いは大谷もまったく同じ。「岩手県で野球やっている子どもたちも、楽しみに見てくれていたりするかもしれない。そういう意味ではすごく良かった」。放った1本の向こうに故郷を見ていた。

日本時代を含めて初めて菊池から本塁打を放ち、メジャー初対決は3打数2安打1打点で完勝。回収されたホームランボールは「母校にあげたい」と即答した。同じア・リーグ西地区で、直接対決の機会はこの先いくらでもある。「特別な気持ちはもちろん、何回やっても持つかなとは思います。打席の中でやることは変わらないので、そこだけ集中してやりたい」。高校の先輩、メジャーでは“先輩”。絡まり合った縁に一瞬だけ感じ入り、大谷はすぐ次の勝負をにらんだ。

▽エンゼルス・オースマス監督(菊池と対戦した大谷について)「何かいつも以上のモチベーションはあったと思う。(菊池に)敬意を払いながらも、(本塁打の後は)感情が出たんだろう」

◆3者連続弾 エンゼルスでは、16年9月3日のマリナーズ戦でカルフーン、トラウト、プホルスが記録した以来の3者連続。メジャーでは今季、レッズが5月5日のジャイアンツ戦で、ツインズが4月26日のオリオールズ戦で記録している。大谷とトラウトのアベック弾は通算9度目で、最近9試合だけで3度達成した。