【オークランド（米カリフォルニア州）17日（日本時間18日）＝四竈衛】アスレチックスと契約した藤浪晋太郎投手（28）がオークランド市内の球団事務所で入団会見を行い、あらためて真っ向勝負を誓った。

1年契約で年俸は325万ドル（約4億3875万円）プラス100万ドル（約1億3500万円）のインセンティブ（出来高払い）と、最大425万ドル（約5億7375万円）までアップする好条件。2月からの春季キャンプ、オープン戦では先発ローテ入りをかけた戦いがスタートする。

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前日までの曇天から一転、本拠地オークランドの上空には雲ひとつない青空が広がっていた。ヨットハーバーが見下ろせる球団事務所内の会見場。日米報道陣の前に姿を見せた藤浪は、ア軍のユニホームに初めて袖を通すと、スムーズな英語で自らを紹介した。

家族、阪神球団、ア軍、代理人のボラス氏ら周囲への感謝の思いを伝えたほか、「富士山のように、フジと呼んでください」とあいさつして笑いを誘った。「日本では晋太郎と呼ばれることが多いんですけど、なんか、シンは発音しにくいかなと。フジだったら、みんなマウントフジは知っているし、分かりやすいかなと」。英語であいさつし、米国人への気遣いを見せた言動で、地元メディアの好感度も一気に上がった。

破格の好条件で契約したものの、立場が保証されているわけではない。ただ、1年契約にしたのも自信の表れ。好結果を残してFAとなれば、来季以降、さらに大型契約が望める可能性もある。「速球とスプリットには自信があります。速球のアベレージでいっても、こちらでも速い方だと思うので、その辺りは自信を持っています」。フォーストGMも「先発ローテーションとして期待している」と潜在能力を高評価。他球団を大きく上回る条件を提示し、獲得に成功した。

アリゾナ州メサで行われるア軍の春季キャンプは、バッテリー組は15日にスタート。わずか10日後の25日からは、先発ローテ入りをかけたオープン戦に突入する。「アジャストすることは多々あるんですけど、思い切ってプレーするところは失いたくない。文化違えど、思い切りの良さというのはどこでも武器となりうると思います」。米国でも貫くスタイルは、思い切り腕を振る真っ向勝負。会見を終えた藤浪の表情は、新本拠地の青空と同じように晴々としていた。

◆藤浪と富士山　藤浪ら大阪桐蔭の選手は高校時代、西谷監督から「日本で2番目に高い山、大きい湖を知っているか？」と問われ続けてきた。富士山は知っていても2番目の北岳を知る人は少数。日本一を目指す号令の象徴が富士山だった。藤浪は21年2月の阪神沖縄キャンプ中、全体アップ前のあいさつでも「日本で2番目の山を知ってますか？　1位にならないと、勝ちきらないと意味がない」と熱弁。ア軍入団会見で「富士山のようにフジと呼んで」と笑いを誘ったスピーチから、さらなる高みを目指す覚悟がにじみ出た。

○…藤浪は入団会見で、草野球に誘われた。ベイエリアの日本人ビジネスマンチームからの勧誘に「ぜひとも。4番ショートで」と絶妙な切り返しで笑わせた。大谷が所属するエンゼルスと対戦する開幕第2戦、4月1日の試合では、背中に漢字で「晋太郎」と書かれ、背番号11が入ったTシャツの配布が決定。注目度が急上昇している。

▽アスレチックスのマーク・コッツェー監督　我々には能力があるが、経験が足りない。（藤浪加入で）それが補充できる。彼は日本の1軍で10年間の経験を持っているから。