米国では今、日本の野球文化が輸入され、ちょっとしたスポットライトを浴びている。WBCでの日本の成功や日本人メジャー選手の活躍で、米国とは違う応援などの文化も注目を集めることが増えた。そんな中、来年には米国で何と、日本を始めとしたアジアの野球文化をテーマにした独立リーグ球団が発足するという。その新ベンチャー球団を取材した。【取材・編集=水次祥子】
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アジア野球文化を米国へ。かつてないコンセプトの新たな球団「OC(オレンジカウンティ)ベースボールクラブ」が来年、誕生する。カリフォルニア州アーバインを本拠地とし、MLBと提携関係にある米独立パイオニアリーグに加入。27年5月の開幕に向けて今、準備を進めている。
新球団設立を手掛けたのは、マイナーや独立リーグの球団を複数運営するイノベーション・ベースボール・パートナーズ社。OCベースボールクラブで広報を担当するカラ・クラカスキーさんに、テキストメッセージのやり取りを通じて話を聞いた。
「私たちの球団は、アジア野球文化の要素を数多く取り入れ、来場するファンに臨場感たっぷりの異文化体験を提供します。目玉の一つは、日本野球文化のトレードマークである選手別応援歌やチャンステーマによる伝統的な応援スタイル。球場の売店は日本の夜店スタイルで、和の球場グルメを提供します」
アジアの野球文化をテーマにした球団創設は、WBCの影響が大きかった。侍ジャパンが優勝した23年の第5回大会や、今年3月の第6回大会のマイアミでの準々決勝などで、鳴り物を使った日本の応援が米国でも注目された。昨年7月にマリナーズのイチロー氏(52)が米野球殿堂入りしたときには、殿堂博物館で日本野球の展示コーナーが開設されて人気を博した。今季はブルージェイズ岡本和真(30)、ホワイトソックス村上宗隆(26)両内野手らが移籍してメジャーに日本人が増え、米国で日本の文化にスポットが当たることも増えた。
テーマ性を持ちエンタメ性を高めた野球チームは今、米国で存在感を高めている。その最たるものが、独自ルールで試合を行い、投手が竹馬に乗って投げ野手が曲芸のようなプレーを披露する「サバンナ・バナナズ」。米北中部を中心に1860年代頃のルールで試合を行う「ビンテージ・ベースボール・リーグ」も存在し、人気となっている。
「我々は、普通の野球とサバンナ・バナナズの中間のようなチームになる」
こう語ったのは、OCベースボールクラブの編成責任者を務めるドン・ワカマツ氏(63)。09年にマリナーズで日系人初のメジャー監督に就任し、イチロー氏らを指揮した元監督が今、ベンチャー球団の一員として新たなプロジェクトに取り組んでいる。球団発足会見の席では「革新的なコンセプトの球団を立ち上げることに興奮している。レベルの高い野球をしながら、異文化を融合させたい」と抱負を語っていた。球団経営に当たるイノベーション・ベースボール・パートナーズ社の創業者ポール・フリードマン氏も「米国内にいて日本や韓国の野球観戦体験ができる革新的な場をぜひとも作り上げていきたい」と意欲を語った。前出のクラカスキーさんによると、エンタメ面を具体的にどう構築していくかは、現在模索中。ワカマツ氏がこれまでの野球人生で得た人脈をフル活用していく予定で「来年の開幕を目指し活発に動いていきます」としている。チームの監督かコーチ、さらに選手は日本や韓国などアジアから広く人材を探す予定だという。
○…今季メジャーでは、日本選手の活躍とともに日本の文化にもスポットが当てられた。ブルージェイズ岡本が本塁打を放った際のセレブレーションには、日本式のお辞儀が取り入れられ、ベンチで同僚とお辞儀をし合い祝福。試合前のベンチでも、選手がそれぞれが何かに感謝を述べてお辞儀をするという儀式が行われ話題となった。
村上の加入で選手のクラブハウスに洗浄便座が導入され話題となったホワイトソックスでは、7月に入って村上にちなんだ和グルメ「ムネショット・スシ」が球場のフードコートに登場。これが連日売り切れの大人気となり、こちらも話題を呼んだ。



