キャイ~ン! 阪神が巨人マイコラスに手も足も出ず、独走を狙った真夏の伝統の一戦、第1ラウンドに完敗だワン。相手失策で1点をもらうのが精いっぱい。7回、ゴメスの1安打に抑えられる「ワンヒットワンラン」負けだワン。なあに、2戦目、3戦目に猛打を取っておいたと思えばいいんだワン。まだ2・5ゲーム差、上にいるのは虎だガオー。
完敗だった。なすすべがなかった。最終回の攻撃も鳥谷、大和、福留が3人で斬られた。巨人先発マイコラスに1安打1得点負け。優勝へ突っ走ろうとする猛虎の前に、フロリダ生まれの剛腕が大きく立ちはだかった。
「狙い球を絞っていてもタイミングが取れてないから、スイングできてないな。ちょっとずつずらされてしまうという…」
敗戦直後、和田豊監督(52)は厳しい表情で首をかしげた。過去3戦で1度も勝てていない相手に対し、試合前練習では打撃投手の投げる位置を通常より前にして速球対策をした。初回から各打者がその速球を狙っていった。だが、芯でとらえられない。2巡目となった4回はベンチ前で円陣を組み、今度は変化球を打っていった。それでも、凡打が積み重なるだけだった。
「ミーティングからそういうこと(対策)をやっているんだけど、打撃で一番大事なタイミングというところでちょっとずらされるんだよな。(体が)前に出されるから…」
左足が着地してから、ボールがリリースされるまでの独特の間が打者のタイミングを狂わせているという。6回に相手の2つの失策で1点をもらい、7回にゴメスの左前打でノーヒットノーランの屈辱を免れるのが精いっぱい。これで4戦3敗、29イニングで4点しか奪えず、対戦打率は1割3分1厘と悲惨な数字が並ぶ。指揮官が指摘したタイミングの“マジック”を打破しない限り、勝利は見えてこないのか。
「対マイコラスという時は接戦に持ち込んでいかないと、なかなか大量点取れる投手じゃないんで。今日はその前に、塁に出ることもできなかった。揺さぶることもできなかった」
巨人との対戦は残り7試合。マイコラスは当然、立ちはだかってくるだろう。頭痛のタネは消えるどころか、大きくなった。
勝ち越せば巨人の自力優勝が消せる3連戦。第1ラウンドは完敗だった。ただ、2・5ゲーム差で首位に立つ和田監督は最後にきっぱりと言った。
「引きずるようなゲームじゃないんで。スパッと切り替えて、明日行きますよ!」
ここまで辛勝と大敗を乗り越えてリーグトップに立っている。この夜の敗戦はたかが1敗と受け止める。指揮官の言葉は第2ラウンドへの逆襲宣言となって敵地に響いた。【鈴木忠平】
▼阪神の1安打は今季最少で12年5月4日巨人戦(甲子園)以来3年ぶり。巨人戦での1安打敗戦も同日以来14度目(他にノーヒットノーランを喫したのが2度)。巨人の外国人投手に1安打完投を許したのは初。
▼阪神が1安打ながら得点を挙げたのは、98年7月15日ヤクルト戦(神宮)での1点(試合は1●5)以来17年ぶり7度目。巨人戦に限れば、1リーグ時代の42年10月1日(後楽園)の1点(1●10)以来、73年ぶり2度目。なお阪神は63年8月31日の国鉄戦(甲子園)で球団史上唯一の1安打勝利(1○0)を収めている。
▼阪神は6回、敵失2個で1得点し、7回にゴメスが初安打。もしこの安打がなく無安打のままなら、プロ野球史上51年ぶり5度目の「ノーヒット・ありラン」となっていた。64年5月13日に、南海が近鉄戦(大阪)で1得点(試合は1●3)したのが最後。阪神では、59年5月21日巨人戦(甲子園)で村山実が「被安打0で完投勝利しながら、2失点」という珍記録を樹立している。



