中日荒木雅博内野手(39)が通算2000安打を達成した。打撃が苦手な男がなぜ名球会入りできたのか。今日から「心・技・体」の3回にわたって秘密に迫る。第1回は「心」。
関わった人はみな、荒木の心を「1本、芯がある」と言う。何度も心が折れそうになったがギブアップしなかった。「性格でしょう。決めたことは最後までやる。途中でやめたくない」と自己分析。「毎日少しずつ積み重ねる才能はあったと思う」。これは50歳まで現役を続けた元中日山本昌と全く同じセリフだ。
自分で決めたメニューは必ずやる。仲間が寝坊しても食事に行っても、自分との約束は守る。自信も実力もない選手が前に進むには練習しかない。そう決めて、22年間続けた。
戦う心を強くする出来事があった。95年1月の阪神・淡路大震災直後、熊本工の内野手としてセンバツに出た。「街が暗かった。野球どころじゃない。それでも野球を見たいと言ってくれる人がいる。だから全力でやらないと。この仕事は手を抜けない。今につながっているんです」
1軍では立浪、谷繁ら大先輩と優勝をノルマに戦う日々。スキを見せれば怒鳴られた。一塁ウッズの威圧感に気圧され、短い距離を正確に投げられない送球イップスになった。二遊間を組む井端の技術についていくのにも必死。「本当に怖かった。怒られないように毎日が勉強。鍛えられたよ」
後輩たちに背中を見せる立場になり、引退を意識する年齢になった。昨年、森野とともに当時の谷繁監督に呼ばれた。「絶対、言い訳するな。みんながお前らの姿を見ているんだ」
両親にこう言ったことがある。「生まれ変わって、もう1回野球をやるかと言われたら、やりたくない」。苦労人の本音だろう。(つづく)【柏原誠、宮崎えり子】



