日本ハムのドラフト1位、吉田輝星投手(18=金足農)が底知れぬポテンシャルを見せた。

24日、2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷で新人合同自主トレ3度目のブルペン入り。初めて捕手を座らせて21球を投げた。この日の直球は一直線にホップするような理想の軌道とは違い、自然とカットボールのように曲がる「真っスラ」だったため、自己評価は30点。それでも周囲は高評価。まだ試運転状態ながらも、実力の高さを示した。

初めて捕手を座らせた本格投球での21球。吉田輝星が、悩んで下した自己採点は低かった。「う~ん…。(理想を100としたら)30くらいですね」。辛めの要因は、直球の軌道が真っスラしていたからだった。追い求めているのは「キャッチャーミットが上がるような軌道」。この日は一直線で浮き上がるような球筋ではなく「状態も良くなかった。自分的には納得してないです」と言った。

それでも周囲の評価は逆だった。投球を受けた植村ブルペン捕手は「真っスラだったけど独特。低めにすごく伸びてきた。普通はボールの回転軸が傾くけど、きれいな縦回転だった。他に見たことがない」と驚いた。視察に訪れた加藤2軍投手コーチも「上半身が開かないから壁が出来て球の出どころも見づらい。球の軌道も独特で誰とも似ていない。打者は見たことがない軌道だから、打ちづらいと思う」と評した。状態が悪くてもポテンシャルの高さは、きっちり示した。

真っスラとなった理由は自己分析できていた。「いつもの悪いパターンは、捕手側に体重が行きすぎてしまうこと。今回は逆で軸足に体重が残りすぎて、体重移動が前に出せていない感じ。けっこう珍しいケースなんです。体重移動が出来ない分、やっぱり上半身の力で頑張らなきゃいけなくなってしまっている」。高校時代も投げ始めの時期は直球が真っスラになっていたという。

「試合で球が(真っスラして)曲がる日に当たったら、それを利用するしかない」とプロとしての戦い方を自覚。武器に応用すると同時に「そうならないようにするのが、やっぱりプロ野球選手かなと思っている」と理想の直球も追い求め続ける。カーブやスライダーも投じたが、ベース手前でワンバウンドする投球もあった。「同じ変化を投げられないと試合で使えない。そこはしっかり修正しないと」。初の本格投球で、現状をきっちり把握。明確にとらえた課題をつぶして、もっと周囲を驚かせていく。【木下大輔】