中大・植田健人投手(2年=興国)がリーグ戦初勝利を挙げた。

大ピンチでも、強気の姿勢を崩さなかった。5-0の4回、先発の皆川が崩れた。4四死球で押し出しの1点を与え、なお1死満塁で植田に出番が来た。「点差はあるけど、満塁で1人に点を与えるとズルズルいきそう。インを突こうと思いました」。駒大の8番山ノ井をカウント1-2からインハイ140キロで空振り三振。続く鈴木は左飛に仕留め、追加点を与えなかった。

大学1年目の昨年はリーグ戦登板はなかった。「直球でファウルが取れないと、東都は苦しい」と、オフは直球のキレを出すことを目指し、走り込みを重ねた。体重は約3キロ増え、80キロに。投球フォームもコーチと相談しながら改良。できるだけ、前でリリースすることを意識している。

今春リーグ戦は、当初の登録メンバーには名前がなかった。だが、8日の東洋大との開幕戦が降雨ノーゲーム。翌日に延期された同1回戦から登録されると、負け試合となった同戦に4番手でリーグ戦初登板。4回を投げ、2安打、自責0に抑えた。「1つのチャンスをつかもうと思いました」。そのまま、リリーフとして名を連ねるようになった。

「ストライク先行で、強気にいくのが個性」と自覚する。直球は140キロ台前半にとどまるが、カット、チェンジアップ、カーブを交え、テンポよく投げる。この日は、そのまま9回まで投げきった。自己最長となる5回2/3、3安打2失点で勝利投手となった。「今日、(勝利投手を)取れるとは思わなかったので、うれしいです」と控えめに喜んだ。

清水達也監督(54)は「経験は少ないが、リリーフで安定している。四球を出すことなく、抑えられる。他の投手にも浸透できるように」と目を細めた。植田は9回1死から四球を出し、山ノ井に2ランを打たれた。勝敗には影響しなかったが「東都の怖さを知れて良かったです」と言った。昨年は春、秋とも最下位を味わった中大だが、2カード目で勝ち点1を獲得。今後が楽しみな右腕が加わった。