最後はサヨナラ負けを告げる打球が左前に転がり、4時間24分に及んだ死闘に幕が下ろされた。

それでも広島は窮地に立たされても、はい上がる粘りをみせた。昨年のセ・パ王者対決。序盤の4点ビハインドをはね返し、同点の9回裏無死満塁の大ピンチも切り抜けた。ナインは延長12回でもあきらめず、戦い抜いた。

劣勢の序盤も泰然自若だった。先発野村祐輔投手は守備の乱れと自らの2四球から4失点しても、ブルペンでは誰も準備しなかった。2日後の先発に向けて山口が調整の投球を行っただけ。試合前からある程度の乱打戦を覚悟し、勝負どころをうかがっていた。攻撃前に円陣を組んだ4回が反撃の合図。先頭のバティスタが16号ソロで口火を切ると、4番鈴木を二塁に置き、西川の26試合連続安打となる適時二塁打で加点。さらに磯村、田中広の連続適時二塁打などで一気に追い付いた。試合の流れを大きく変えた。

今季は開幕ダッシュに失敗し、借金は一時最大8まで膨らんだ。それでも緒方孝市監督は動じなかった。「すぐにうまくいくとは思っていない。バタバタする時期じゃない」。3連覇した自信と選手の力を信じ、地に足をつけた采配を振った。わずか11日で勝率を5割に戻し、貯金を13まで増やしてセ・リーグ首位で交流戦を迎えた。

慣れない指名打者制での試合や、移動距離のある日程が続く。指揮官は厳しい戦いを覚悟していた。「(勝率)5割で十分。厳しく、難しい戦いになる」。選手に過度な重圧は与えず、先を見ずに1戦1戦を戦う。交流戦となっても、スタイルは変わらない。初戦で示した反発力と粘り強さこそ、リーグ4連覇を狙う広島の底力だ。【前原淳】