西武が12安打10得点の圧勝劇を演じ、マジック点灯をまたもや阻止した。中村剛也内野手(36)が8回、プロ野球記録を更新する19本目となる満塁弾を放った。だめ押しの一撃で、今季108打点とし山川とトップで並んだ。さらに外崎修汰内野手(26)が2本塁打で86打点。91打点の森とともに上位4人を占め山賊打線の破壊力を証明した。首位奪取を見据える中、史上初の和製100打点カルテットが現実味を帯びてきた。

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大好物な光景が広がった。森が四球を選んで1死満塁となった8回。中村は好球必打で3球続けてボールを見送り、さらに3球連続ファウルした。「フォークが浮いてきたのをファウル。だったら次は真っすぐがくるかなぁ~? と思って」。読み通りの直球を、バックスクリーン中段に運ぶ130メートルの27号満塁弾。今季の満塁時は打率5割、42打点と荒稼ぎ。「満塁のときにしか打ってないな…」というが、またも無双の破壊力を発揮した。

不名誉記録に待ったをかけ、打点数はトップに並んだ。5回の犠飛と合わせ、108打点で山川とタイとなり「並んじゃいましたね~」と4年ぶりのタイトルが見えてきた。一方で、前夜の試合で通算1712三振でパ・リーグ記録に並んでいた。「まあ、このまま三振をしないということはない。いつかはする。でも今日もあの(5回の)チャンスで三振だけはダメ。最低でも犠牲フライと思っていた。ときと場合によりますけど」。三振をしない打撃ではなく、チームの勝利に徹してバットを振る。

36歳の4番を勢いづかせたのは“4番目”の男だった。外崎が2回に先制ソロ。7回には23号3ランでオリックスを粉砕し「チャンスで自分らしいバッティングができた」。これで86打点とし、中村、山川、森に続く4位に浮上してきた。上位を山賊たちが独占し、03年ダイエー(現ソフトバンク)以来の100打点カルテットが現実味を帯びる。日本人4人なら初の快挙だ。

辻監督は「(森)友哉がすごい。打ちたいだろうにあそこで四球を選ぶんだから」。10試合連続打点を挙げていた森の記録は途絶えた。打った2人以上に、自分を殺してチャンスをつくった森をたたえるところに、山賊の強さがかいま見えた。首位ソフトバンクのマジック点灯を阻止。差は縮まらなくても、見えない、強烈なプレッシャーをかけ続ける。【栗田成芳】