巨人の4年目右腕、高田萌生投手(22)と楽天のサイドスロー左腕、高梨雄平投手(28)のトレードが合意に達したことが14日、分かった。巨人と楽天のトレードは、ゼラス・ウィーラー内野手(33)と池田駿投手(27)に続く今季2例目になる。

楽天は最速154キロ右腕高田の加入で、投手陣の競争力を高める。コロナ禍の影響による活動休止期間は12球団で最も長かった。調整が難しい先発陣の状態判断には慎重を期し、試合状況を見ながら開幕から先発陣は球数、イニングを段階的に増やした。それに伴う救援陣の負担軽減、分散を図るため、ブルペンには安楽、辛島ら先発経験のある投手を配置。ファームでは先発再転向の松井、ベテラン福井、4年目藤平、3年目の西口、渡辺佑、ドラフト6位ルーキーの滝中らが先発でチャンスをうかがう。18年にイースタン・リーグで最多勝、最優秀防御率、最高勝率の3冠に輝いた高田の存在は、若手をはじめとした投手陣全体の成長促進へとつながる。

一方、高梨は4年目で初の開幕1軍メンバー入りを逃した。左サイドハンドの主戦場はワンポイントリリーフ。三木監督は投手起用について打者の左右に固執し過ぎない考えで現在、救援左腕は辛島のみ。今季イニング途中からの救援投手の登板は6度。ウィーラーとの交換トレードで巨人から先発、救援ともにこなす左腕の池田駿が加入。18年に球団初の70試合登板を果たした高梨へのチャンスは限られていた。

石井GMは常々「トレードは悪いものではない。出場機会はあることがプロ野球選手にとって大事なこと」と話すように、高梨にとってもチャンスとなる。昨オフはFAで鈴木大、金銭トレードで涌井、人的補償で酒居、さらに牧田、ロメロも獲得。首位を走るチームの重要な戦力としてそれぞれが躍動する中、石井GMは「補強はただ勝ち星が上がればいいというものではなく、チームにいい影響を与えるものとしてやってきたつもり。中長期的なことで言うと、補強ばかりしても強くはならない。今いる選手がいいものが出せるように補強はするものだと考える。若い選手が育っていくことでイーグルスが強くなる」と未来を描く。常勝軍団へと進化する過程の1つとして、積極的な入れ替えを敢行している。