偉大な4番打者に肩を並べた。巨人岡本和真内野手(24)が、3回に左中間席に運ぶ先制3ラン。3年連続の30本塁打を決めた。チームの生え抜きでは松井秀喜氏(7年連続)以来18年ぶり。85年目の巨人の歴史でも、生え抜きでは王貞治、原辰徳、松井秀喜の3人のみの記録だ。5回の第3打席にも2打席連続弾を放ち、31本塁打、95打点はリーグ2冠。残り3試合、自身初のタイトルへ突き進む。

  ◇   ◇   ◇  

どこか安心したような笑顔でベンチに戻った。0-0の3回1死一、二塁。岡本はヤクルト小川の145キロを左翼席上段に運んだ。先制3ランとなった3年連続の30号は、チーム生え抜きでは松井秀喜以来。「まずは30本を目標にしてシーズンに臨んでいるので、そこはよかった」と喜んだ。

プロ4年目の18年春季キャンプ。臨時コーチを務めた松井秀喜氏から強化指定選手として指導を受けた。特打をマンツーマンで行い、下半身の使い方、軸足への体重の乗せ方などフォームの改善に取り組んだ。その結果、シーズンでは史上最年少で「3割30本100打点」を記録。先人の教えを体現し結果につなげた。

その2年後の今春キャンプ。2年連続30本塁打で迎えたが「自分はようやく1軍にいられる。松井さんであったり、それこそ坂本さんは早くから1軍で活躍されている。そんなすごい方々に囲まれて自分もここまでこれた」。憧れの松井氏とは現役時代ともにプレーしていない。だが、伝統の巨人軍に飛び込んだ岡本の周りには、坂本という追いかけるべき背中があった。同じ高卒1位ルーキーとして入団した松井氏も、坂本も2年目から1軍に定着。3年目までジャイアンツ球場で先輩たちの背中を追いかけた日々を思い返した。

2冠に向け、岡本のバットは休むことを知らず、5回無死の第3打席では右中間に2打席連続の31号を運んだ。本塁打は2位に3本差。打点は2位に9点差をつけた。原監督は「まだまだ伸びしろがある。聞くところによると乳歯も残っていると。非常に大きく期待できる選手」とさらなる成長を楽しみにした。岡本は「まだ未熟な部分もある。課題として取り組んでいきたい。残り3試合あるので、1打席1打席、無駄にしないように」。6年目の24歳。先人を超え、前人未到の世界を目指し、1歩ずつ歩みを進める。【久永壮真】

▼岡本が30、31号を放ち、自身初のセ・リーグ30号一番乗りで3年連続30本塁打を達成。巨人でセ・リーグ30号一番乗りは昨年の坂本勇に続き10人、25度目(王が最多の13度)。巨人で30本塁打を3年以上続けたのは07~10年小笠原と08~10年ラミレス以来7人目となり、右打者では85~88年原、ラミレスに次いで3人目。岡本は今年で24歳。24歳シーズンまでに30本を3度以上記録したのは98年松井(巨人)以来でプロ野球5人目。王は22歳から19年、松井は22歳から7年連続で記録したが、同じ22歳からスタートした岡本は何年続けられるか。また、24歳以下で本塁打と打点の2冠を獲得すれば98年松井以来となる。