楽天島内宏明外野手(32)が、静まり返った楽天生命パークをひと振りで沸かせた。

3点を追う7回に、反撃ののろしとなる11号ソロ。打線に火を付けると辰己が同点2ランを放ち、8回に浅村の犠飛で勝ち越した。首位西武に逆転勝ちを決め、負ければ借金生活だったチームは貯金を1に戻した。

  ◇  ◇  ◇

納得の1発だった。島内は、3点を追う7回先頭で打席に入ると、1ボールから西武エンスの外角145キロ直球をフルスイング。打球は左翼フェンスを越えた。今季初めての逆方向への本塁打。「あっちに飛ぶのが基本的に自分の打撃。今年はあっちに強い打球がいかなくて苦しいシーズンです」と打ち明けた。春先から、左翼方向への打撃でボールをこすってしまうことに悩まされてきた。

だが、ここ最近は感覚が良くなってきた。「打球速度自体は春先に比べて遅いんですけど、入射角はすごくいい」。手応えを感じていたところで、最高の結果が出たが「たまたまだと思うんですけど、これをまた違う試合でも打てるようになっていかないと自信にはつかないと思う」。慢心なく表情を引き締めた。

自信を取り戻し、恩返しを続けていく。7月23日に通算1000安打を達成。石井GM兼監督から、そのお祝いにサプライズでスニーカーを贈られた。「トラビスの白いやつ。ローの。20万~30万はするんじゃないんですか。すごく感謝しています」と頭を下げた。

ソロアーチの直後には「このあと予定があるんだけどなぁ」と意味深なコメントを残していた。試合後は取材に応えていたが、少しソワソワした様子で「行かないといけないんですよ。言えないんですけど。内緒の予定と書いておいてください」と報道陣に要望? した。ヒーローは忙しげに球場を後にした。【湯本勝大】

【関連記事】楽天ニュース一覧