日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。

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今年からNPB(日本野球組織)の2軍、イースタン・リーグに新規参入した新潟市に本拠を置く「オイシックス新潟アルビレックスBC」が初年度のシーズンを終了した。

GM的存在の辻和宏(取締役総合営業部部長兼編成部長)は「うちがちゃんとチームとして成り立ったかどうかは、相手球団のみなさんに評価していただきたいと思っています」という。

全126試合で41勝79敗6分け、勝率3割4分2厘。首位DeNAに29・5ゲーム差をつけられ、8球団で構成されるイースタン・リーグでは断トツの最下位だった。

チーム編成は、NPBを戦力外になって再起をかける選手、ドラフト指名もれの人材などの発掘に尽くした。他の独立リーグとの競合になるためにチーム作りは容易ではない。

当初スタートした計45選手(のちに44選手)のうち、NPBを経験したのはドラフト1位で阪神に在籍した高山俊、日本ハム、巨人でプレーした陽岱鋼ら9人だった。

遠征はバス移動が基本で、戸田(ヤクルト)、所沢(西武)、浦和(ロッテ)は当日移動、川崎(巨人)、横須賀(DeNA)、鎌ケ谷(日本ハム)、仙台(楽天)は前日入りだった。

最初は新潟・長岡を夜中3時の配車で関東方面に向かうこともあった。できるだけ融通の利く宿舎探しから、連戦に対応できるクリーニング屋の確保など、環境整備は大変だった。

メーンスポンサーで、共同経営する食品宅配「オイシックス・ラ・大地」(東京)の傘下で、学校・企業の給食事業を展開するシダックス社とバックアップ態勢を組んできた。

関東遠征はシダックス社のキッチンカーが球場に出動し、スポーツ栄養士が献立を監修し、調理師資格をもつスタッフが、高糖質・低脂質で、消化が早いメニューと捕食のおにぎりを提供するなど「アスリート食」を管理した。

長岡市内には「選手食堂」を設置し、常にバランスを考えた食事がワンコインでとれる。「オイシックス・ラ・大地」から派遣されている広報室室長・田頭優子は「“日本一おいしい球団”を目指します」と頼もしい。

シーズンを通しては「借金38」だったが、地域密着を目指す球団がホームゲームで33勝28敗3分けの勝ち越しを収めたのは、ささやかな“果実”といえるだろう。

しかも、左打ちの知念大成が首位打者(3割2分3厘)のタイトルを手中にし、右投手の上村知輝は20セーブで救援王に輝いた。10月下旬のドラフト会議で指名を受ける可能性が広がった。

BC新潟の現場では、シーズンを通して選手、スタッフによるサポーターの「お出迎え」「お見送り」を徹底してきた。辻は協賛スポンサー集めを強化しながら「少しずつ環境改善をしていきます」という。

NPBは1軍への新規参入は認めていない。あくまでも2軍のみの参加になるBC新潟にとって、上部組織を持たない格差のある地方での球団経営は厳しい道程が予想される。

それでも代表取締役社長・池田拓史は「我々は今年より2年目、2年目より3年目と変化していきたいと思っています」と挑戦していくことを強調する。「球界再編(ファーム編)」が、野球界の刺激になるのはこれからかもしれない。(敬称略)【寺尾博和】