日本製紙石巻(石巻市)が、7点差大逆転で七十七銀行(仙台市)を破り、2年ぶり7度目の都市対抗(8月26日開幕、東京ドーム)切符をつかんだ。

打線は6回まで無安打。だが、0-7の7回表にミラクル劇を演じた。7回1死走者なしで、ベテラン水野隼翔外野手(32=桐蔭横浜大)がバックスクリーンにソロ本塁打。チーム初安打で反撃の口火を切ると、快音は鳴りやまず、四球を挟まない11打者連続安打(うち長打4本)で10得点のビックイニングをつくり出した。

6回までは2四球と失策による3人の出塁のみ。昨季、選手を勇退した中嶋政弥コーチ(35)が口を開いた。「野球は1人でやるものではない。スタンドで応援してくれる人の思いも背負って、思いをつなごう」。

その言葉どおり、つないで、つないで、1点差まで詰め寄ったところで4番・佐藤晃一捕手(26=中央学院大)に打席が回った。目は潤んでいた。「流れに乗るしかない」。前日の決勝・JR東日本東北戦から6打席連続無安打。それでも、ストライクゾーンから大きく外れた高めのボールを気持ちで打った。痛烈な当たりは左翼線を破る同点の適時二塁打。塁上でほえた。そして、思わず涙があふれた。

4月のJABA日立市長杯では、ニチダイに無安打無得点を喫した。それ以降、チームはかみ合わない時期が続いた。打線の大黒柱であり、昨季から主将も務め、佐藤は責任を感じていた。それでも、徐々に粘り強く、ワンチャンスをものにする日本製紙石巻らしさが戻ってきた。そして、最終大一番のこの日、大逆転劇で2年ぶりの都市対抗切符をつかんだ。「総決算が今日だったのかなと思います」。これまでの思いは、うれし涙に変わった。

ここで満足はしない。目指すは「優勝のみ」と、黒獅子旗を見据える。「背負いすぎず、チームを勝たせるために背中で見せていきたいです。自分が1番楽しんで、声を出してチームを引っ張っていきたいです」。石巻市を背負い、東京ドームへと乗り込む。

【木村有優】