<ソフトバンク4-3楽天>◇20日◇福岡ヤフードーム
ソフトバンクの大学・社会人ドラフト3巡目指名、久米勇紀投手(22=明大)が、プロ初登板初勝利をマークした。8回2死二塁のピンチで登板すると、昨季のリーグ本塁打王・山崎武を見逃し三振。続投した9回も無失点で切り抜け、柴原のサヨナラ逆転3ランで白星が舞い込んだ。新人投手の開幕戦初登板初勝利は、59年の足立(阪急)以来、リーグ5人目。球団でも58年杉浦(当時南海)以来、50年ぶりの快挙となった。
あまりにも劇的すぎるフィナーレに、久米は興奮を抑え切れなかった。柴原の打球が右翼席へと着弾すると、先輩の後を追うようにベンチを飛び出した。ホームベース付近にできた、主役を待ち受ける歓喜の輪。少々、遠慮がちではあったが、勝利投手に輝いた「脇役」もしっかりナインと抱き合い、勝利の味に酔いしれた。「柴原さんが打ってくれると期待して見てました。本当に感動した。この勝ちは自分1人ではなく、チーム全員で勝ち取った勝利」。マウンドよりも緊張したというお立ち台で、初々しい笑顔がはじけた。
プロ初登板にしては、少々、厳しい条件下での登板だった。2点ビハインドの8回2死二塁。打席には、昨季の本塁打王・山崎武。「大事な試合でマウンドに立たせてもらった。何が何でも抑えようと。全力で投げることしか頭になかった」。4球で2-2と追い込むと、最後は141キロの直球をど真ん中に投げ込んだ。気迫負けしたベテランのバットはピクリともせず、見逃し三振。追加点が許されない場面を無失点でしのぐと、9回も無失点で切り抜け、プロ初勝利を手にした。
リーグ史上5人目、チームでも大先輩にあたる故杉浦氏以来、50年ぶりとなる新人投手の開幕戦初登板初勝利。この日スタンドには、大学時代に学んだ身体能力ゼミの加納教授を招待していたが、半世紀ぶりの偉業達成を恩師の目の前で成し遂げた。「学生時代から投球フォームをビデオに撮ってもらって、アドバイスを頂いたりしていた。1軍にいたら開幕戦に招待すると約束していたので、いい恩返しができた」。帽子のつばには「どんな場面でもその気持ちを忘れずに」という思いを込め「笑」の一文字を記す久米。同期入団の大場より一足先に、最高のプロデビューを飾った。【石田泰隆】



