リングにかける男たち

拳法極めた前田稔輝が“間合い”克服し世界を狙う

12月22日はボクシングの全日本新人王決勝戦が、東京・後楽園ホールで行われた。日本ボクシング界の未来を担う逸材発掘の場で、最大の注目を集めたのがフェザー級。亀田3兄弟のいとこ、亀田京之介(21=花形)が、その主役だったが結果は判定1-2で敗戦。勝ち名乗りを受けたのは、グリーンツダジムの前田稔輝(じんき、23)だった。

2019年12月22日 フェザー級新人王決勝戦 3回、亀田(左)に左フックを見舞う前田(撮影・山崎安昭)
2019年12月22日 フェザー級新人王決勝戦 3回、亀田(左)に左フックを見舞う前田(撮影・山崎安昭)

互いに探り合うスタート。前田も「今日は0点。いつもの自分じゃなかった」と振り返った。手数もなく、ラウンドだけを重ねていく。最終4回、前田が仕掛けた打ち合いでようやく試合が動く。その差が勝敗に響いたか。微妙な判定結果を前田がものにした。

ジムの本石昌也会長は「彼の実力はまだこんなもんじゃない。キャリアさえ積めば」と話す。前田は小学校1年から日本拳法をはじめ、大商大2年時には日本一に輝いた。段位は師範クラスの4段。そこから将来を見据え、ボクシングに転向。ジムに入門したのは昨年11月で、デビューは今年4月。キャリアの浅さが、最大の弱点だった。

ボクシングの聖地、後楽園ホールの独特の空気に「のみこまれた」という。その中で勝利を手にしたのが最大の収穫。「やばいと思ったが、大阪からもたくさん応援に来てくれて、何とか勝つことができた」。

父の忠孝さん(44)も日本拳法3段の腕前だが、息子のプロボクシングデビューを機にトレーナーライセンスを取得した。「息子と同じ、最初から始めるつもりです」。将来的に本石会長も「ついてもらいたい」と父子鷹に期待する。

強打のサウスポーだが、試合のスタイルは日本拳法が抜けていない。前田も「距離感がつかめなかった」と“間合い”の違いを打ち明ける。裏返せば、克服した先に伸びしろがある。新人王を制して、日本ランク入りは確実となり「世界に早く近づけるようになりたい」。拳法で頂点を極めた強打が、世界を狙う。

【実藤健一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

2019年12月22日 フェザー級新人王となった前田(撮影・山崎安昭)
2019年12月22日 フェザー級新人王となった前田(撮影・山崎安昭)

日刊スポーツのバトル担当記者のとっておきコラム。プロレス、ボクシング、総合格闘技の現場からお届けします。

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