プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(33=大橋)が夏休み中のキッズたちに向け、両親への愛と師匠へのリスペクトを語った。
7月27日、地元座間市のスカイアリーナ座間で開催された市民を対象としたイベント「ざま井上兄弟キッズチャレンジフェスタ」にWBC世界バンタム級王者の弟拓真(30=大橋)とともに登場。参加した約150人の子供に向け、トークショーや質問コーナーを実施。キッズボクシング体験ではミットも持ち、触れ合った。
質問コーナーでは子供たちから率直な質問が飛んだ。「感謝したい人は誰ですか?」。井上は「感謝したい人は両親ですね。ここまで育ててくれたこと。お父さんとお母さんがいなければボクシングにも出会えていないし、ここまで結果を出せていないと思う。本当に感謝しながらボクシングを続けています」とやさしい口調で伝えた。
続いて「尊敬する人は誰ですか?」。先に拓真が「やっぱり父です。小さい時は仕事の合間に熱心に教えてくれて、世界王者になるまで、ずっと教え続けてくれた。それがなかったら世界王者になっていない。父の背中は偉大だなとこの年齢になって感じますね」と父真吾トレーナー(54)への気持ちを明かした。
弟に父への尊敬の念をすべて語ってもらったこともあり、井上は「同じく父ですね。それでは同じになってしまうので」と前置きし、所属ジムの大橋秀行会長(61)への尊敬の念を口にした。
「プロ転向する時、大橋ジムに所属することを決めてから、大橋会長のプロモートする姿、選手に対する接し方をみながら現役生活をしていますけど、偉大だなと。そこはすごく思う。大橋ジムでなければ目の前(に置かれた世界主要4団体)のベルトも取れていなかったかなと思います」
当初、井上は協栄ジム所属になることが「9割方」(大橋会長)決まっていたという。しかし井上が大橋ジムに入門予定の選手と食事する約束をしたことを知った同会長が「うちのジムに興味があるのか?」と真吾氏に連絡を入れたことがきっかけで急転、大橋ジム入りが決まった経緯がある。大橋会長は「私の勘違いだったが、これも運命だった」と振り返る出会い。それは井上自身も感じている言葉だった。
このイベントで井上は「辞める時にボクシングやってきて良かったなと思える引退の時を目標に頑張ります」とグローブを置く将来像を口にした。大橋会長は「東京ドームで井上尚弥の引退試合をできたら最高だよね」と話したことがある。師匠が思い描く最高のステージで、父の指導を受ける井上が最強のパフォーマンスをみせる-。この歯車が見事に合致しているからこそ、米老舗専門誌ザ・リング選定のパウンド・フォー・パウンド(階級を超越した最強ボクサー)ランキング1位が実現しているのだろうとあらためて感じた。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)





