大栄翔が優勝すれば、追手風部屋としても初の優勝力士誕生となる。今場所の同部屋の関取は幕内に3人、十両に3人で計6人。活気十分の部屋を引っ張る大栄翔は「いい環境で稽古させてもらっている。恵まれている」と感謝した。

98年秋場所後に師匠の追手風親方(元前頭大翔山)が日大の後輩でもある2人の弟子を連れて、友綱部屋から独立して23年目。独立時の弟子で、99年初場所で部屋初の関取となった、現青森県議会議員で元関脇追風海の斉藤直飛人氏(45)は「自分たちのときは稽古相手がほとんどいなかった。懐かしいですね」と感慨深げに振り返る。

同氏は追手風部屋の後援会顧問で、同県板柳町で巡業の勧進元も務めるだけに、今場所の関心度はもちろん高い。斉藤氏が大栄翔と初めて話したのは「3、4年前の青森での巡業。一緒に食事をした。真面目でコツコツやる子と聞いていたがその通りだった」と振り返る。現師匠が育てた弟子では追風海と大栄翔の関脇が最高位。今場所を足がかりに、さらなる出世を目指す“弟弟子”に斉藤氏は「まだまだ強くなる要素がある。楽しみですね」とエールを送っていた。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

大栄翔(右)は玉鷲をはたき込みで破る(撮影・小沢裕)
大栄翔(右)は玉鷲をはたき込みで破る(撮影・小沢裕)