「のぼりのポール、変わったのに気づきました?」

国技館で日本相撲協会の施設管理担当者から、そう尋ねられた。のぼりは、力士の名前や色鮮やかな布が目を引く。その下のポールにも、変化があった。

秋場所から北門側に入ったのは、カーボン入りの特注ポール。これまで使っていた竹に代わるものだ。価格は1本14万円。19本を導入したというから、単純計算で266万円になる。なぜ、そこまで費用をかけて替えたのか。きっかけは、風だった。

「風がすごいんですよ。吹き抜けるんです」。担当者によると、周辺に高い建物ができて以降、強い風が吹き抜ける日が増えたという。北門側では竹のポールがたびたび折れていた。「しょっちゅうポキッと折れちゃう」。

折れれば差し替えなければならない。人が行き来する場所だけに、安全面も気になる。のぼりが風になびく姿は場所の風景だが、管理する側には、その風が悩みになっていた。

竹に代わるものを求め、メーカーに相談した。注文は「この長さで折れないように作ってくれ」。のぼりを掲げるための長さと、吹き抜ける風に耐える強さ。その両方を求めて作られたのが、新しいポールだった。

5月の夏場所で、まず1本を試した。問題がなかったことを確認し、秋場所から19本を導入したという。正面入り口から南門にかけてのポールは、従来の竹を引き続き使っている。全てを一新したのではなく、風の影響で困っていた北門側に限って入れ替えた。

のぼりは、館内に入る前から場所の気分を盛り上げてくれる。力士の名前が並ぶ華やかな風景の裏で、風を受けるポールの材質は変わった。見慣れた景色を安全に保つための、北門側19本の入れ替えだった。【山田遼太郎】

国技館の北門側には新しくなったのぼりのポール
国技館の北門側には新しくなったのぼりのポール
国技館の正面入り口から南門にかけては従来の竹のポール
国技館の正面入り口から南門にかけては従来の竹のポール
国技館の正面入り口から南門にかけては従来の竹のポール
国技館の正面入り口から南門にかけては従来の竹のポール