ボクシングWBA世界ミドル級王者村田諒太(33=帝拳)が失敗から学び、成功をつかみ取った「男の生き様」を少年院生たちに熱弁した。19日に千葉・八街少年院を訪問。約1時間30分にわたる講演を行った。中学時代に2度もボクシングを辞めてしまったこと、高校、大学ともにデビュー戦とラストマッチで黒星を喫していたことを明かし「負けの歴史なんです。負けという単体は良いことではないが、負けたままで終わらなければいい」と熱い口調で自らの思いを伝えた。

中学3年時に「ボクシングを続けたい」と決断した自らのエピソードを交えながら「人にはうそをつくことができるけれど、自分の心はごまかせない。中学時代、プロの日本ランカーとスパーリングしてボコボコにされたけれど自分で決めたことだから辞めなかった。辞めないで続けたこと。これがボクの人生の誇りです」と強調。自分で決断し、継続することの大切さも訴えた。

12年ロンドン五輪で金メダル獲得し、13年にプロ転向。最初の3年間は勝利しても納得いく内容をみせることができなかった当時の心境も伝えた。「ダサかった内容の試合を良く見ましたね。2分ぐらいで見たくなくなるけれど、嫌な思いをしてみた。自分の弱さと向き合って軌道修正できたし、成長できました。最悪なことが出たら簡単。反対なことをすればいいのだから」と語りかけた。

昨年6月、東京・府中少年院での講演して以来となったこの活動は「HERO’S」と呼ばれる更生支援プロジェクト。村田はアンバサダーとして活動し、2度と非行を繰り返さない強い気持ちを持ってもらうことを目的としている。「大まかな言いたいことは決めていましたが、あとは感情に任せました」と振り返った村田は「ボクの話を聞いてくれたと思います。あとは彼らが行動してくれるかです」と期待。熱心に耳を傾けてくれた少年院生たちと「勇気とは行動である。ボクシングで勇気を見せないといけない」と約束し、年末に予定される初防衛戦に向けて気合を入れ直していた。