西前頭筆頭逸ノ城(21=湊)が横綱日馬富士(30)を押し倒し、2勝目を挙げた。初土俵から所要8場所目で2個目の金星は、同10場所の元大関出島を抜くスピード記録。昨年秋場所で横綱鶴竜から挙げた初金星は立ち合いで変化したが、今回は正攻法で勝ちきった。

 2個目の金星は格別の味だった。初金星との違いを問われた逸ノ城は「全然違います。前に行けたんで」と即答。過去2戦2敗中で、先場所は変化された日馬富士に迷いなくぶつかった。のど輪で起こされ、はたかれたが、残って左手で突き返す。土俵際に追いやると、すかさず押し込んで尻もちをつかせた。勢い余って自身も倒れ込んだ。「横綱の当たりに負けないように」と、思い描いた相撲に何度もうなずいた。

 新入幕だった昨年秋場所は、立ち合いの変化で鶴竜から史上最速で初金星。今場所は関脇から平幕に陥落したが、初土俵から所要8場所で2個目の金星は、97年秋場所で曙、貴乃花を破った出島の10場所を17年半ぶりに更新するスピード記録だ。初日は不戦勝で、黒い締め込みに変えてから実質初勝利し「いい相撲だったと思います。どうだったですか?」。また1つ最速記録が加わった。

 体調の変化も好影響を与えている。行きつけの整骨院の宇山昌克氏によると、帯状疱疹(ほうしん)で入院した昨年九州場所前に比べ「筋肉量が80%戻った」という。場所前は四股やすり足など基本に返って汗を流し「ちょっといい感じです」と実感していたのも、自信につながった。

 今場所から部屋に新弟子2人が入った。「自分も股割りはできなかった」と、昔を思い出す21歳は「体は動いている。明日も動いていきたい」。怪物と恐れられた実力を、最強横綱にぶつける。【桑原亮】