新関脇の照ノ富士(23=伊勢ケ浜)が2敗目を喫した。怪物ぶりは影を潜め、西前頭6枚目魁聖(28)にあっけなく寄り切られた。その原因は、場所中に見舞われた腹痛の再発だった。手痛い黒星で優勝争いから1歩後退し、無敗の横綱白鵬(30)と2差がついた。
照ノ富士に、思わぬ悪運が降りかかった。魁聖に土俵際まで寄られると、あっけなく土俵を割った。栃煌山、琴奨菊らに逆転勝ちしてきた力強さは影を潜め、北の湖理事長(元横綱)からは「立ち合いを直さないと、大関戦も優勝も難しい」と指摘された。だがそういう問題ではなかった。苦悶(くもん)の表情を浮かべ「ミスったあ…」。やりきれなさがあふれていた。
支度部屋で2つ質問に答えた後、続けた。「それと、力を入れているときに出そうで…」。本当の原因は、完治したはずの腹痛だ。突如もよおしたのは土俵下に座ってから。トイレに行きたくても、もう後戻りできない。力を入れようにも、入れられない。「入れたら出ちゃうじゃん。勝っても、出たらおかしいやろ」。代わりに出てきたのは、やり場のない怒りだった。
今場所は誰よりも“ウン”と付き合ってきた。4日目の朝から体調を崩し「食べたら上、飲んだら下」と、昼夜問わず何度もトイレを行き来した。だが次第に回復したことで、気が緩んだのかもしれない。締め込みを締める前には必ず用を足していたが「ちょっと治ってきてるから、大丈夫かなと思った」。そこに落とし穴が待っていた。
1敗で追っていた白鵬は全勝を守り、こちらの運には恵まれず。快進撃ムードがしぼむ2敗目を喫したが、13日目以降に直接対決も残る。休場した安美錦からは「頑張れ」と託された。命運は、いかに。【桑原亮】

