大関照ノ富士(23=伊勢ケ浜)が大関琴奨菊(31)を寄り倒し、無傷の11連勝とした。2度目の優勝へ前進するとともに、年間勝利数は55勝となり、途中休場した横綱白鵬(30)を抜いて首位に浮上。優勝争いは、無敗の照ノ富士を1敗の平幕勢(28)、2敗の横綱鶴竜(30)と平幕豊ノ島(32)が追っている。

 横綱を目指す男が、力の差を見せつけた。照ノ富士は琴奨菊を豪快に寄り倒すと「(右)まわし、届きませんでした」と言った。相手得意の左四つで圧倒し、向正面で観戦するサッカー日本代表のハリルホジッチ監督を「(土俵から)見たよ」という余裕も。白鵬の休場で年間最多勝利の首位に浮上する今年55勝目に「まあ、いいんじゃない」と涼しい顔で言った。

 同じ轍(てつ)は踏まなかった。7月の名古屋場所は終盤に3敗して失速。千秋楽で琴奨菊に敗れた悔しさも、忘れていなかった。変化も想定して「張っていった」と、右の張り差しで動きを止める。がぶり寄りにびくともせず、上手を引けないままでも力で押し切った。「粘ろうとしてるから、おっつけた」と、ひょうひょうと振り返った。

 1年前の秋場所初日、初の大関戦が琴奨菊だった。立ち合い変化で勝った。「思い切りやったのは1回だけ。思い出したくない」。苦笑いするが、こうも続けた。

 照ノ富士 あれで、いなしがあるんだなって、相手が思い切り来なくなった。その間に強くなった。あれで負けてたら、自信をなくしてたかもしれない。やってよかったのかな。楽しかったな。

 今や大関に昇進し、大関戦は10勝8敗。三役昇進後は6勝3敗と力をつけ、2度目優勝と来場所の綱とりも近づいた。

 優勝争いは「関係ないよ」とけむに巻くが、意識しているのは確か。大関所要3場所での横綱昇進が、年6場所制となった1958年以降の最速記録。これを聞かされると「聞くとそうか~と思っちゃうな」と色気を見せた。追われる展開にも「勝てばいいじゃん」と強気に言い放った。【桑原亮】

 ◆年間最多勝利 白鵬が横綱昇進した07年以降は8年連続で白鵬が独走している。年6場所のうち、4場所目の名古屋場所以降で白鵬を上回ったのは、07年名古屋場所14日目の横綱朝青龍のみ。朝青龍は翌秋場所から休場したため、3日目で白鵬が再逆転した。横綱以外の年間最多勝は、年6場所制となった1958年以降4人で、02年の朝青龍(関脇-大関)が最後となっている。