横綱白鵬(31=宮城野)が、わずか15年半という驚異的な速さで通算1000勝を達成した。魁皇より6年半、千代の富士より4年も早いスピード記録。200勝以降は勝率8割を割らず、ペースがほとんど落ちない。その要因を、師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)は「基本運動」にあると明かし、白鵬と親しい大島親方(元関脇旭天鵬)は横綱の「聞く力」を挙げた。

 白鵬は900勝以降こそ、少しペースが落ちたが、それでも100勝ごとの勝率は8割を超える。いまだに落ちない力は、先人2人と異なる。宮城野親方は「昔から、休みの日でも体を動かす。昼寝をした後に1、2時間、四股やすり足をしていた。それを横綱になってもやっている。そういう積み重ね」と明かした。

 稽古場に行くと、股割りなどの柔軟運動に始まり、四股やすり足など、土俵に入るまでに長ければ1時間かける。たっぷりと汗をかき、体を目覚めさせる。白鵬は「鍛錬というのかな。これをやらないと勝てないと、現役力士の中で自分が一番、認識している」と言う。そして「必ず、完全休みはしてはならない」とも加えた。師匠は「準備運動が一番嫌だと言う。でも、やらないと体が温まらないことを知っている。手術後も運動していた。だから、回復が早かったと思う」。

 前人未到37度の優勝を誇る大横綱。だが、大島親方は「絶対にてんぐにならないし、勉強家。聞く力を持っている」と言った。「いきなり日本の歴史とか難しい話もしてくるし、聞いたり見たら忘れない人。地方の小さな店の食事の内容まで覚えている。オレには無理」と笑う。双葉山、大鵬、千代の富士-。先人の映像を見て、聞いて取り入れる。宮城野親方も「聞く力は、昔と違って、このごろある」と笑った。手術や断食を取り入れたのもそう。鋭い観察眼と記憶力に、傾ける耳。探求心の塊が白鵬を支えている。【今村健人】