2度目の優勝へ1敗も許されない大関貴景勝(23=千賀ノ浦)が、出血を伴う激しい一番を制して、2敗を死守した。関脇高安のかち上げを食らいながら、いなしを交えて下から突き起こし続けた。

豪栄道は前日に大関からの陥落が決まったが、厳しい相撲で白星を挙げた。

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激しい相撲だったが貴景勝は自分を見失うことなくペースを崩さなかった。

あれだけ高安に張られればカーッとなり、しゃかりきに出てもおかしくないところを、ブレーキも踏みながら冷静に対応した。一方の高安は、突き押しの“専門家”の貴景勝に対し、最後まで応戦してしまった。自分の武器は何か。かち上げで当たって突き放して、その流れで四つに組めるのが高安の対応力だ。その自分の武器を磨けないから大関の地位を失ってしまった。この結びと、その前の一番は去年、大関を張った4人による取組だった。つくづく大関のありようを考えさせられた13日目の2番。栃ノ心に豪栄道は、大関陥落決定直後に立て直して会心の相撲だった。その精神力は褒めたい。5年も在位できたのは、自分の形を持てたからこそ。14日目も千秋楽も3月の大阪につながる相撲を取れれば、大関返り咲きに期待が持てる。

(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)