徳勝龍の幕尻優勝に始まった今年の大相撲は、新型コロナウイルスとの闘いとなった。春場所は初の無観客。5月の夏場所は中止、7月の名古屋、11月の福岡は東京・両国国技館に変更となった。厳しい状況下でも、土俵上で多くのドラマが生まれた。今年1年、幕内を務めた力士が対象の年末恒例連載「第9回日刊スポーツ大相撲大賞」は、独自調べで発掘した好記録や珍記録を表彰する。
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役力士にぶつかり続けた1年。平幕の北勝富士(28=八角)が「奮闘努力賞」に輝いた。小結だった春場所を除き、平幕だった4場所で三役以上との対戦が23番。平幕力士で最も三役以上との対戦が多かった。北勝富士は「そんなにやってたんですね。確かに上位にはいましたけど…」と、やや複雑そうな声色だった。
平幕で三役以上との対戦が多かったということは、1年間を通して平幕上位に居続けたということ。安定した実力があってからこそだと思われたが、北勝富士は「上位にいるのはいいことかもしれないけど、早く上に上がりたい気持ちが強いですね」と、三役に定着できない歯がゆさを口にした。定着できない理由を「いい時はいいんだけど、それがなかなか続かない。次の場所も同じいい成績を出せないのが課題です。15日間戦うメンタル、1年通して安定したメンタルが必要」と分析した。
では、どんな心境で土俵に上がっているのか。「本来ならダメだけど」と前置きした上で、三役以上との対戦は「食ってやろう、という特別な気持ちが出る。それに、自分が平幕の時と三役の時でも、また違う気持ちになる」と力が入るという。結果、関脇、小結には6勝5敗と勝ち越した。横綱、大関には5勝7敗と勝ち越しとはならなかったが、大関は4度撃破。平幕が大関を破る“銀星”は4個と、これも最多となった。
まさに奮闘し続けた1年は、追い抜かれた悔しさが大きいという。「朝乃山が大関、正代さんも大関に上がった。年も近いし、同じ学生出身。悔しいし、自分もそこを目指したい」と朝乃山と正代の新大関昇進に刺激を受けた。「技術もメンタルも鍛えて来年は三役で奮闘したい」と力強く誓った。【佐々木隆史】

