返り入幕の幕尻、西前頭16枚目の宝富士(37=伊勢ケ浜)が東十両筆頭の大奄美を寄り切って、17年春場所以来の初日から5連勝を決めた。先場所は12年ぶりに十両へ転落。歴代6位の幕内連続出場が990回でストップした。満身創痍(そうい)の37歳は落ち込み、気持ちも切れかけたが、家族の支えなどで奮起。1場所で幕内に返り咲くと、勝ちっ放しで序盤を終えた。新小結の大の里はかど番の大関霧島を撃破。今日6日目は1敗同士の大関琴桜と対戦する。
◇ ◇ ◇
幕尻の37歳が幕内最初の一番から観衆を沸かせた。宝富士は立ち合いから主導権を握り、左前まわしを取ると、そこから一気に前へ出て大奄美を寄り切った。「前に出るしかないと。先に攻めようと思った」。十両筆頭相手にも守らず、攻めて初日から勝ちっ放しで序盤を終えた。
先場所は12年九州以来、十両に落ちた。幕内連続出場も990回でストップ。切れそうな気持ちを支えたのは子供の存在だった。昨年から相撲を始めた長男で5歳の慶丞(けいすけ)くん。場所で勝つと「パパ勝ったね」と言ってくれる。「まだまだ頑張る姿を見せたい」と再起を期した。今場所前のゴールデンウイークには相撲大会で3位入賞。幕内復帰した場所でパパも負けるわけにはいかなかった。
勝ちっ放しを決めた後の西の花道。近大相撲部の同期で、20年初場所で幕尻優勝を果たした千田川親方(元幕内徳勝龍)に「幕尻優勝だね」と声をかけられた。「ありがたい。冗談を言ってくれて、気持ちが楽になる」と同期の励ましに笑みを浮かべた。
初場所は照ノ富士、春場所は尊富士と、今年は伊勢ケ浜部屋勢の優勝が続く。別力士での同部屋3連覇は若乃花、貴ノ浪、貴乃花(二子山部屋)と続いた96年春場所以来だ。110年ぶりの新入幕優勝の次に37歳の幕尻宝富士の優勝というドラマが待っているかもしれない。【田口潤】

