一塁コーチャーは三塁ほど派手な仕事はないが、出塁して息が上がる走者を落ち着かせ、ベンチの意図を一緒に理解してチャンスを広げていく。立ち位置の工夫次第で、二塁走者の大事な目安にもなる技術を「三塁コーチャーバイブル」の川島敏男さんが教えてくれた。

【コーチスボックスの大きさ約6メートル】

一塁コーチャーは三塁と同じく、走者がいない時は、本塁寄りに立つことを薦める。その場所からしか分からない、普段と違う打者の傾向などが見えれば、アドバイスを送れる。

打者が長打を放てば、打者走者の視野に入るように、一塁方向に移動する。打者走者から打球の行方が見えていることがほとんどなので、進塁は走者と三塁コーチャーの判断に任せて、一塁ベースを確実に踏んだかどうかを確認して、万が一の時にはバックを指示する。

走者一塁は忙しい。ひじや足元の防具を預かり、走者とベンチのサインを確認する。そこまでに、アウトカウントや相手投手のけん制の傾向などを口頭で確認する。ベンチの選手に防具を取りに来るようリクエストもする。時々、一塁コーチャーが走者2人分の防具を抱えたまま、立っていることがある。スムーズなベンチワークで、ランナーコーチャー本来の仕事を引き出したい。

走者と一塁手、投手が見える一塁寄りでけん制に備える。「ゴー」「バック」の判断をコーチャーに委ねるかのように語る人もいるが、基本的には走者の反応次第。コーチャーは投手のけん制のクセや傾向の観察や、けん制が悪送球になった時の判断、一、二塁となりベースから離れていた一塁手が、サインプレーで戻ってこないかなどに注意を払いたい。

走者二塁の時に、一塁コーチャーの立ち位置で、二塁走者をコーチングする一工夫がある。コーチスボックスの大きさはベースから本塁方向に約6メートル×3メートル。二塁走者の個々のリードの距離が頭に入っていれば、そこに立って走者の目安になるやり方だ。例えばけん制から戻れるリード距離5㍍なら、ボックスの5㍍付近に立つのだ。余裕があれば、第2リード(シャッフル)はこれぐらいと、目印を示すとなおよい。工夫次第で、コーチャーの仕事がますます面白くなる。【久我悟】