現地時間22日に発表されるアカデミー賞ノミネーションで最多ノミネートが期待される映画「アリー/スター誕生」で、レディー・ガガ演じる歌手を夢見る主人公アリーをスターダムに押し上げたロックスターを演じたのは、監督にも初挑戦したブラッドリー・クーパー。アルコール依存症に苦しむ役どころをリアルに演じ、監督賞と主演男優賞のWノミネートの可能性も取りざたされていますが、実生活でもアルコールと薬物依存に苦しんだ過去があります。「世界にひとつだけのプレイブック」(12年)、「アメリカン・ハッスル」(13年)、「アメリカン・スナイパー」(14年)で3年連続アカデミー賞にノミネートされ、シリアスなドラマからコメディーまで幅広い役どころを演じる俳優として大成功を収めているクーパーですが、プライベートでは15年ほど前の29歳の時に泥酔してコンクリートの床に自ら頭を打ち付ける失態を犯したことで禁酒を決意したといいます。血まみれになって病院に運ばれた一件以来、禁酒を続けたことで俳優としての成功を手にしたと過去のインタビューで語っていますが、今作でも撮影中はもちろんアルコールは一切摂取しておらず、劇中で見せた酔っ払った迫真の演技はもちろん全てしらふ。過去の実体験が良い意味で生かされ映画の大成功につながったといわれていますが、ハリウッドではクーパー以外にも、アルコール依存症から見事に復活を果たして活躍するスターたちがいます。

◆ロバート・ダウニー・Jr

子役時代に薬物に手を染めて刑務所にも服役するなど薬物絡みで過去6回逮捕された過去があるロバート・ダウニー・Jrは、2003年にアルコールと薬物を絶つことを決意し、海に所持していた薬物を全て捨てたといわれています。そこからはメル・ギブソンの助けを借りて俳優復帰し、マーベルの「アイアンマン」(08年)の主演に抜てきされて再ブレーク。どん底からハリウッドで最も稼ぐ俳優になりました。

◆ダニエル・ラドクリフ

「ハリー・ポッター」シリーズで主人公ハリーを演じて一躍大スターとなったダニエル・ラドクリフは、わずか11歳で名声を手に入れた重圧からアルコールに走るようになったといいます。ハリーを演じながら私生活では夜な夜な飲み歩くアルコール依存症生活を送った末にシリーズ最終章の撮影後に断酒を宣言。丸メガネで愛くるしいキャラクターから一転して「アンダーカバー」(16年)ではスキンヘッドになるなど、シリーズ終了後はハリーのイメージを覆すような役柄にも挑戦し、公私ともにハリーとアルコール依存症からの脱却を目指しています。

◆ベン・アフレック

長年アルコール依存症と闘っているベン・アフレックは、昨夏3度目となるリハビリ施設入所で、再びアルコール依存症に陥っていることが明らかになりました。10年間連れ添ったジェニファー・ガーナーと離婚するなど私生活の問題から再びアルコールに手を出し、バットマン役を務める「ジャスティス・リーグ」の続編やバットマン単独の新作映画への出演と監督も降板することになったなどと伝えられています。10月末にリハビリ施設を退所した後は、さっそく撮影現場に復帰する姿が目撃されており、俳優としてこれからが正念場といえるでしょう。

◆ドリュー・バリモア

「E.T.」(82年)で愛らしい演技を披露して一躍人気子役となったドリュー・バリモアは、10代で大麻を愛用し、その後は飲酒と喫煙、コカインなどの薬物使用とだんだんとエスカレートし、荒れた私生活で女優としてのキャリアを破綻させた過去があります。しかし、アダム・サンドラーと共演した「ウエディング・シンガー」(98年)でそんな転落人生から復活。その後は「25年目のキス」(99年)「チャーリーズ・エンジェル」(00年)「50回目のファースト・キス」(04年)など大ヒット作に立て続けに出演し、女優として見事な復活を遂げました。私生活では3度の結婚で2人の子供をもうけ、今ではワインとコスメのプロデュースでも成功を収めるビジネスウーマンでもあります。

ショウビズ界では他にもブリトニー・スピアーズやスーパーモデルのナオミ・キャンベルらアルコールや薬物依存から禁酒して見事に立ち直っているスターたちがいます。いよいよ今日、アカデミー賞のノミネートが発表となります。果たしてクーパーが期待通りWノミネートとなるか注目です。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)