舞台雑話

草なぎ剛、演技の振り幅の大きさ自在さ感じた舞台

京都劇場で上演している草なぎ剛主演の舞台「家族のはなし PART1」(6月1日まで)を見てきました。

「家族のはなし」で主演する草なぎ剛(左)と小西真奈美(内池秀人氏撮影)
「家族のはなし」で主演する草なぎ剛(左)と小西真奈美(内池秀人氏撮影)

草なぎと言えば、昨年は舞台「バリーターク」、そして名作映画「道」をもとにした音楽劇「道 La Strada」に主演しました。「バリーターク」では架空の村に生きる男を、過剰なせりふに放出する熱量もたっぷりと演じたかと思えば、「道」では映画で名優アンソニー・クイーンが演じた粗暴な大道芸人ザンパノを、鍛えた肉体美とともにすごみも交えて野性的に作り上げていました。

どちらもハードな役柄でしたが、今回は一転して、軽やかで、心がほっこりとする舞台でした。大阪でCM関連の仕事をしながら、サラリーマン劇団で活動する淀川フーヨーハイとあべの金欠の2人が作・演出した作品で、第1話「わからない言葉」では犬、第2話「笑って忘れて」ではギターが趣味の広告会社のプランナーという役どころ。池田成志、小西真奈美らが共演しました。

「わからない言葉」では、ちょっと関係がギクシャクしている夫婦の間にあって、けなげに動き回る犬のハッピー、「笑って忘れて」では笑うと記憶を失ってしまう妻に寄り添う夫と、自然体で優しい草なぎの演技が光っていました。特に「笑って」ではギターの弾き語りというファンにうれしい一幕もありました。つかこうへいさんの「蒲田行進曲」で初めて舞台を経験し、どちらかというと、舞台では憑依(ひょうい)型の演技やシリアスなものが多かった草なぎですが、演技の振り幅の大きさ、自在さをあらためて感じました。

最近は草なぎに限らず、稲垣吾郎は舞台「LIFE LIFE LEIFE」、香取慎吾は三谷幸喜作・演出のミュージカル「日本の歴史」に出演しています。SMAP解散後、CM以外ではテレビで見ることの少なくなった3人ですが、稲垣は「LIFE」で演技派の大竹しのぶ、段田安則に伍(ご)して、上司にへつらう天文学の夫を繊細に演じ、香取も「日本の歴史」で源義経をはじめ何役も演じ分け、献身的に歌い踊っていました。

そんな3人に、ファンも熱心に劇場に足を運んでいます。京都劇場も、「LIFE」が上演されたシアターコクーンでも立ち見客が出るほどの盛況でした。草なぎの今回の舞台は、残念ながら東京での公演予定はまだなく、東京から駆けつけるファンも多かったようです。京都まで行けなかったファンのためにも、東京でも上演してほしいと思う、良質な舞台でした。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)

華やかな舞台、輝く役者。夢の世界であると同時に、そこには舞台裏とさまざまな人間模様もあります。演劇、演芸について、林尚之記者がさまざまな切り口から伝えます。あなたも、演劇の世界がきっと好きになります。

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