毎年10月15日からは新聞週間。今年の新聞標語には「無関心 やめると決めた 今日の記事」が選ばれた。そんな時、月刊「文藝春秋」11月号に読売新聞グループ代表、渡邉恒雄主筆の「文藝春秋と私 百歳まで生涯一記者」とノンフィクション作家、清武英利さんの「記者は天国に行けない」連載第10回が載っている。

清武さんは元読売社会部の敏腕記者だが、巨人軍球団代表だった11年前、コーチ人事をめぐって球団オーナーの渡邉主筆に“清武の乱”を起こして代表を解任された。そんなお二方がくしくも同じ誌面につづった記者への思い。読み進むと、いつしか2つの流れが一緒になった感覚にとらわれる。

政治部一筋、賛否はあれど、時の政権に深く食い込んできた渡邉主筆は<工夫次第でありとあらゆるところに取材先は広がる。時には皇室でさえもニュースソースになる>と言い切る。

96歳、渡邉主筆がこう書けば、青森支局から社会部警視庁、国税庁担当、常に現場に身を置いて特ダネを連発してきた清武さんは、安倍元首相の「桜を見る会」で「しんぶん赤旗」のスクープを後追いをすることになった後輩記者たちに危機感を抱く。

<記者が権力者に迎合したり、その行為に寛容であったりして目の前の公金私物化に何の疑問も感じなかったのであれば、その記者とメディアは腐敗したことを意味する>

いま一線で走り回っている記者たちも、そして僭越(せんえつ)ながら生涯一記者を自負する私も、果たして読者から「無関心 やめると決めた」と言ってもらえる記事を書いているのか。さまざま考えさせられる、2022年新聞週間である。

◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。