政界地獄耳

森喜朗と神と政策と…/政界地獄耳

★東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの開催を巡り組織委員会会長・森喜朗が迷走している。森は12日、インターネットで講演し今夏に延期された大会をさらに1年延期することについては東京都や関係省庁からの出向者の期間を延長できないとして「絶対不可能だ」とした。つまり理由は組織委員会の組織の問題だという。「あとは毎日毎日神様にお祈りする。天を敬う。それしかない」としたが、昨年末、12月24日の国内競技団体向けの協議会でも森は冒頭のあいさつで五輪の観客の取り扱いについて触れ「無観客となるのか、どれだけのお客さんが入るのか、無制限で行けるのかは天との勝負。神様がどれだけ味方していただけるかだ」とした。

★その森は12日、新年の職員向けのあいさつで「家内がスマホをみると、私の悪口ばかりだったそうだ。首相・菅義偉以上だった。長い人生で初めて。2000~01年の森内閣でもこんなにひどくなかった」と話した。それはそうだ。森内閣でITインフラを整えたので、当時はネットで国民の声があふれることはなかった。

★加えて2000年5月15日、時の首相・森は「神道政治連盟国会議員懇談会」結成30周年記念祝賀会のあいさつで、「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知をしていただく」「いずれにしてもこのとき天命が下ったのかなと思いました。総理大臣になりました時、まさにこう申し上げました。まさに天の配剤だろうと。だからこそ、恥ずかしいことをしてはならない、まさにお天とう様が見てござる、神様が見ていらっしゃるんだということを1つだけ、大事にしながら政治があやまちにならないよう、しっかりと頑張っていきたいと思います」とあいさつ。いわゆる神の国発言で首相の資質が問われた。その批判は他の失言も相まってすさまじいものになった。ただ、当時から今まで森が頼るものは神様だということに変わりはないことだ。国民の批判は神頼みではなく合理的で科学的な政策判断だ。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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