昨年4月の東京都江東区長選を巡り、選挙運動の報酬として元区議に現金100万円を供与したほか、選挙期間中にインターネットに有料広告を掲載したとして、公選法違反(買収など)の罪に問われた前区長木村弥生被告(58)の公判が24日、東京地裁であった。検察側は「法が禁じる手段で有利な選挙戦を画策した」として、懲役1年6月を求刑した。弁護側は寛大な判決を求めて結審した。判決は6月14日。

木村被告は保守分裂となった区長選で、柿沢未途元衆院議員(53)=同法違反罪で有罪確定=らの支援を受け初当選した。公判で、供与した100万円は柿沢元議員から渡された活動資金だったと説明していた。

検察側は現金供与が多額だと指摘。「クリーンな区政」を掲げながら、選挙の公正性に疑念を抱かせ、民主主義の根幹を揺るがしたと非難した。

弁護側は、自身の選挙に貢献した元区議が区議選で落選したことへの自責の念に起因し、悪質性は低いと主張。有料広告掲載の発案者は柿沢元議員で、「選挙の指南役だった柿沢元議員の助言に従った事情に配慮すべきだ」と述べた。

起訴状によると、昨年6月ごろ、区長室で元区議の板津道也被告(54)=同法違反罪で公判中=に現金を供与したほか、柿沢元議員と共謀して自らに投票を呼びかける広告をユーチューブに約37万円で掲載したとされる。

検察側が連座制の対象となる「組織的選挙運動管理者」に当たるとしていた柿沢元議員の有罪が3月に確定したことを受け、東京高検は今月8日、木村被告に連座制を適用し、区長選への立候補を5年間禁止するよう求める行政訴訟を東京高裁に起こした。訴訟は提訴受理から100日以内に判決を出すよう努める「百日裁判」で審理される。(共同)