自民党都連会長下村博文氏の元秘書で、同氏の地盤板橋区から、都民ファーストの会候補として出馬した平慶翔氏(29)が当選確実となった。板橋区内の選挙事務所に現れた平氏は、支持者に何度も深々と頭を下げ「皆様の民意が反映された。身が引き締まる思いです」と表情を引き締めた。

 同じ下村氏の元秘書で、事務所の先輩にあたる自民現職の河野雄紀氏(47)と松田康将氏(40)との激しい戦いだった。先輩2人の応援に駆けつけた下村氏は平氏に「裏切られた」と公言。週刊文春の加計学園裏献金疑惑報道では、報道を否定した自民党の下村博文都連会長から、事務所の内部文書を流出させた人物として、「自筆サイン入りの上申書」を公表され、選挙妨害とまで言われた。

 平氏は下村氏の発言について、「事実無根」とし、筆跡も違うと話している。下村氏はこの日の開票特番で、平氏側が法的な手続きを準備しているなら「受けて立つ」と法廷闘争も辞さない構えを示した。平氏は当確後「都民ファと相談の上、しっかり対処していく」と引かない構え。下村氏が報道陣に配った「上申書」は偽造として、すでにサインについて筆跡鑑定を行っていると明かした。

 順風の都民ファ候補としては、下村氏の地盤で強い逆風の中での選挙。組織もない中で、両親が選挙事務所のさまざまな仕事を手伝い、ボランティアに支えられた。遊説中に、「裏切り者」と飛びかかってくる人もいたが、そんな時には父が身をていして守った。「週刊誌報道はあったが、私を支持してくれた人は、平慶翔という人間を見てくれたのだと思います。本当にありがたいと思います」。

 下村事務所の先輩で板橋選挙区で争った河野氏と松田氏が落選確実と聞くと、一瞬表情を曇らせたが、「板橋に限らず、新しい議会を求める都民ファへの期待、民意が反映されたのだと思います」と話した。