民進党の蓮舫元代表(50)は14日、同党の両院議員懇談会に出席後、執行部が進める党再生策を「どこへ歩いていくか、先が見えない」と批判した上で、立憲民主党への「移籍」を示唆する発言をした。立憲の枝野幸男代表(53)と、近く面会する方針。衆院解散後の分裂を受け、参院議員が主体の政党になった民進党では、立憲への離党が相次いでいる。代表経験者の蓮舫氏までが流出すれば、党の「空中分解」に拍車がかかる可能性もあり、かつての野党第1党は青息吐息だ。
衆院選を機に党が分裂した民進党は、党の再生策を模索中。この日の両院議員懇談会では、大塚耕平代表が示した(1)新党への移行(2)党名変更(3)現状維持での党運営改革という3案について、所属の参院議員(46人、離党届提出者を除く)と、党籍を残す衆院議員(14人)の一部も参加して、協議が行われた。
ただ、衆院選後、1度は党存続が決まった経緯もあり、新党構想に反対し、党存続を求める意見も根強い。その1人が蓮舫氏だ。会合後、取材に応じた蓮舫氏は、公然と執行部の対応を批判。「民進党を維持するにしても看板を替えるにしても、新党にするにしても(肝になる)政策の説明が、執行部から全くない。このままどこに歩むのか、正直、見えない」と述べた。
さらに「答えがないまま改革という響きのいい形で進むなら、中身のない歩みになる」と酷評した上で、「枝野さんの話も、聞いてみたい。近く枝野さんに会い、立憲民主党とはどういう政党か、直接聞いてみたい」と述べ、衆院で野党第1党(54人)になった立憲との接触を明言。入党については明言を避けた。
立憲の枝野代表は、民進や希望の党(51人)との安易な合従連衡には否定的。その枝野氏との面会にあえて踏み込んだのは、立憲入りを見据えた動きとの見方が強い。すでに有田芳生氏が離党届を出すなど、民進から立憲への「移籍」の動きは後を絶たない。反執行部の蓮舫氏が動けば、他の「離党予備軍」も続く可能性があり、執行部の求心力はさらに低下しそうだ。
執行部は、年内の決着を目指す。政党助成金の基準日となる1月1日までに結論が出ないと、党の台所事情にも影響するためだが、この日は「結論を急ぐべきではない」「参院は全員がまとまるべき」との意見もあり、見通しは不透明だ。
蓮舫氏は「統率力不足」を理由に7月、代表を電撃辞任した。今回再び、民進党に激震をもたらそうとしている。【中山知子】