東京都の小池百合子知事(65)は17日、日刊スポーツのインタビューに応じた。昨年の衆院選前、思いを込めて立ち上げた希望の党が、代表辞任後の今、民進党との統一会派問題で混乱。小池氏は一連の動きを「分かりにくい」と述べた上で、「国民に選ばれた原点に立ち返ってほしい」と、くぎを刺した。今年は、パラリンピック成功に向けた機運醸成に力を注ぎたいと表明。昨年までと距離感が変わりつつある都議会との関係では、自民党とも連携を進める意向を強調した。

 希望の党を率いて昨年の衆院選に臨み、敗北。代表を辞した小池氏は「都政にまい進」を掲げ、以来、国政の動きとは一線を画す。

 その希望の党は、民進党との統一会派問題で混乱。安保関連法などでの立ち位置が異なる中、選挙前に別れたはずの両党が、選挙が終わると再び結集する動きが出てきた。

 小池氏は「国政は国政にお任せし、動きを見守っている」とした上で、「国民にとって、分かりやすい流れになっているかといえば、むしろ逆。分かりにくいなと思う」と指摘。最終判断は国会議員側に託しつつ、「なぜ(選挙で)選ばれて国政を担っているか、原点に立ち戻って判断されるのがよろしいかと思う」と、くぎを刺すように述べた。

 ただ、民進系野党による統一会派問題が生まれたきっかけは、希望結党による小池氏の衆院選参戦だ。激動だった昨年を「大きな変革の年。私には挑戦の年でもあったが、やりがいがある年だった」と振り返り、「今年は担っている責任を1つ1つ果たしたい」と、心機一転の思いを述べた。

 「東京オリンピック(五輪)・パラリンピックまで、(17日で)919日。日程が迫っている」。会場などハード面の見通しはほぼ立ったとして、今年は機運醸成を重視すると表明。「パラリンピックを成功させたい。まだ知られていない競技も多い」と、パラリンピックの情報発信に力を注ぐ方針。国や大会組織委員会などとの連携については「皆でまとまっていくことについては、年が変わり新しいスタートが切れると思う」と述べた。

 衆院選前と協力体制が変わりつつある都議会各会派との関係も、緊密にする構えを示した。「それぞれ思いがあっても、都民ファーストの方向性はどの会派にも通じる。(知事査定が終わった)18年度予算案は、会派を超えてご賛同いただけると思う」と自信をみせ、「オールジャパンでオリパラに臨むには、その前にオール東京で臨まなければならない。自民党、公明党の皆さんとも、しっかり連携していく」と述べた。予算案には、都民が提案した事業9件も盛り込んだ。

 「小池劇場」が始まった知事選以降、小池氏自身が前面に立つ活動が続いた。「これまでは(従来方針の)見直しが多かった。見直しや整理整頓を行い、これからは巡航速度に入っていく」。8月には1期目の折り返しを迎える。劇場から安定へ。そんな流れになるだろうか。【中山知子】