「ひふみん」こと、将棋棋士の加藤一二三(ひふみ)九段(77)が、あなたのお悩み相談に答えます。
14歳でプロになり、今年6月に引退するまで63年間、勝負の世界に身を置いてきました。敬虔(けいけん)なキリスト教徒として30歳で、洗礼も受けています。生きる厳しさと、聖書の教えをベースに、指導対局ならぬ、人生指南をしてくれます。毎週水曜日に掲載します。
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<先手質問> 中学では軟式野球部の補欠でした。高校に入ったら、ラグビーをやりたいと思います。ところが、「野球を続けて、甲子園を目指して頑張れ」と父からずっと言われています。父は元高校球児。兄弟は小5の妹だけ。妹はミニバスケットボールをしていますが、父はあまり興味がないらしく、母が妹の応援に行っています。(15歳 中3 群馬県)
<後手回答> ラグビーですか。私があんな身体接触の激しい肉弾戦をやったら、1週間は体が痛くて動けないでしょう。
もし、「来年W杯を控えて注目されそう」とか「前回のW杯で南アフリカにも勝っており、自分もやってみたい」など、うわべだけで魅力を感じているのなら、お勧めできません。それなりの覚悟が必要です。
体格が良くて、体力に自信があって、大変な鍛錬にも耐えられるだけの精神的な強さがあるのなら、どうぞやってください。その時は、お父さんにちゃんとお話ししなさい。
「甲子園へ」というお父さんの夢も分かります。もっとも、将棋の世界はなかなか親子でプロという例がありません。生き残り競争の激しい世界ですから。
あなたは自分の主張を自分の口で伝えなさい。「野球が嫌だから、高校に入ったらラグビーをやる」ではなく、もっと前向きな夢を語ってください。
スポーツでも文系の趣味でも同じですが、面白くて楽しく一生続けられるのが一番です。また、押しつけられてまでやるものではありません。その代わり、やるからにはきちんと続けてください。
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